急成長期の中国コーヒー市場、大都市から地方まで浸透

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中国では、長い歴史の中でお茶が普段の飲み物として愛されてきたが、ここ数年はコーヒー文化も着実に定着しつつある。上海市でこのほど発表された「2023年中国都市コーヒー発展報告書」では、中国コーヒー産業の潜在的市場規模は1兆元(1元=約20円)に達するとの試算が示された。急成長期を迎えた中国のコーヒー市場は、世界的に見ても新たな市場機会の中心になりつつある。

国内では「瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)」「Seesaw Coffee」「Manner Coffee」など自国ブランドのコーヒーチェーン店が台頭し、異業種コラボも進んでいる。店舗も北京、上海などの大都市から各県(中国の県は省、市に次ぐ行政単位)の中心市街地へと普及。近年大流行したミルクティーに取って代わる勢いを見せ、一部の人々から大衆、流行から日常の飲み物へと変化を遂げている。

生活関連サービス大手の美団がまとめたコーヒー専門店に関するリポートによると、中国本土のコーヒーショップは22年5月時点で11万7300店。美団のフードデリバリーデータでは、今年1~2月の地方主要都市・中小都市のコーヒーのデリバリー注文は前年同期比約2倍となり、大都市の伸び率(72.1%)を上回った。地方への普及については、インターネット通販大手、京東集団(JDドットコム)が運営するスーパー「京東超市」が今年発表した消費者洞察データでも、各県農村部市場の一人当たりコーヒー消費額の伸び率は北京・上海・広州・深圳の四大都市より26%高いとの結果が出た。深化を続ける中国のコーヒー市場は、大都市のホワイトカラー層から地方都市、農村部まで着実に浸透しつつある。

コーヒーの飲み方も従来のアメリカン、ラテ、カプチーノなどの枠を超えて進化し、タピオカミルクティーなど中国人がミルクティーで見せた「革新力」が遺憾なく発揮されている。ココナッツミルクやオレンジジュース、茶、リキュールを加えて斬新なフレーバーを作り出すだけでなく、天津の揚げ菓子「小麻花」や北京の緑豆発酵飲料「豆汁児」、杭州の西湖竜井茶、成都の青花椒(中国山椒の一種)など各地の名物と組み合わせることで、より多くの人々に受け入れられ、好まれるようになった。

海外のコーヒーチェーンも中国の市場や消費習慣の変化を機敏にとらえ、新たなサービスを打ち出している。米スターバックスは今年3月、中国でのドライブスルーサービス「沿街取(Curbside)」を開始。北京や上海の約150店舗がすでに導入している。

中国はコーヒー豆でも世界から注目されている。ネスレやスターバックス、ラッキンなどの大手企業は、比較的安価で質の高い雲南省のコーヒー豆を競って買い付けており、同省産コーヒー豆を使った各種ドリンクや関連商品の発売も相次いでいる。雲南省は中国最大のコーヒー豆産地、集散地、輸出地であり、栽培面積、生産量、生産額が全国に占める割合はいずれも98%を超える。ここ数年は、良質品種の普及や高付加価値加工、ブランド育成などを強化する政策も次々と打ち出されており、2021年の作付面積は約140万ムー(約9万3千ヘクタール)、生産量は10万トンを超え、産業全体の生産額は316億3千万元に達した。

「2023年中国都市コーヒー発展報告書」は、中国のコーヒー産業規模が2025年に3693億元になると予測する。消費の観点から見ても、コーヒー消費新興国である中国のコーヒー豆消費量は年平均伸び率が12.5%とコーヒー消費が成熟した国々に比べ急速に伸びている。先進国との差も縮まり続けており、非常に高い将来性を秘めている。(新華社上海)

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