世界初マイクロLEDの量産を実現。中国「JBD」、EV大手BYDから資金調達 ARや車載向けに応用進める

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世界初マイクロLEDの量産を実現。中国「JBD」、EV大手BYDから資金調達 ARや車載向けに応用進める

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マイクロLEDディスプレイ開発メーカーの「顕耀顕示科技(Jade Bird Display=JBD)」がシリーズA3+とA4で数億元(数十~百数十億円)を調達した。シリーズA3+は電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)などが、シリーズA4はアリババや自動車大手の吉利グループ(Geely)などが主導した。

2105年に上海で設立されたJBDは、0.3インチ以下のマイクロLED技術の研究開発を手がけている。現在、米国と欧州にも事務所を構え、合肥市にも子会社を置いてる。従業員が500人、うち8割が技術者。これまでに累計で数億ドル(数百~千数百億円)を調達しており、株主には韓国のサムスン電子も名を連ねる。

マイクロLEDは小型で高輝度、長寿命などの特長があり、業界では「究極のディスプレイ技術」とも言われている。特に拡張現実(AR)や仮想現実(VR)に向いているため、業界や投資家の注目を集めている。ここ数年は世界的にマイクロLEDをめぐる合併・買収(M&A)や提携が活発になってきた。

アップルがこのほど発表した空間コンピュータ「Apple Vision Pro」は依然としてマイクロOLEDディスプレイを採用している。しかし、アップルなどの大手企業は早くからマイクロLED事業に向けて動いてきた。アップルは2014年にマイクロLEDディスプレイ開発のスタートアップ「LuxVue」を買収、メタ(旧フェイスブック)は20年にディスプレイメーカーの「Plessey」とマイクロLED技術の開発で提携すると発表した。

Apple Vision ProにマイクロLEDが採用されなかったのは、マイクロLEDの生産状況に理由がありそうだ。市場調査会社Yoleのリポートによると、マイクロLED業界は全体的にまだ良品率が低く、コストが高いため、量産が困難な状況にあるという。これに対してJBDは新しい解決策を試みた。Yoleのリポートによると、同社は世界で初めてマイクロLEDの量産を実現、すでに安徽省合肥市の工場で生産を開始し、生産能力は年間1億2000万台に上る。

YoleのMicroLED 2022リポート

マイクロOLEDディスプレイは明るさがわずか5000nit(ニト)で、最初にカメラを通して現実世界をキャプチャする必要があり、それをアルゴリズムでバーチャル情報と融合して表示する。この方式は製造コストが高く、使い勝手も悪いほか、消費電力やバッテリー駆動時間などに問題があり、モバイルでの使用にはあまり適していない。

これに対して光学シースルー型ディスプレイは、透明なレンズを使用してバーチャル情報をユーザーの眼前に直接表示するため、合成する現実世界を取り込む必要がなく、演算能力、サイズ、重さなどデバイスのスリム化を図ることができる。ただし、この形式では透過時に光が失われるため、ディスプレイ自体に高い輝度が求められる。

この点で、ディスプレイ学会SIDの「2023 Display of the Year」を受賞したJBDのマイクロLEDディスプレイ「AMµLED」0.13シリーズは、赤色光75万nit、緑色光500万nit、青色光100万nitの明るさを実現した。

JBDは現在、設計から製造、販売までを手がける垂直統合モデルIDMを導入しており、III-V族化合物半導体の材料、半導体の製造プロセス、画素構造などのイノベーションを通じて、超高精細画素のままマイクロLEDの効率を向上させている。現在の量産製品ラインには、0.13インチ、0.22インチ、0.31インチのマイクロLEDディスプレイのほか、単色・多色プロジェクター、双眼多色光モジュールなどがある。

また、独自開発中の自発光型カラーマイクロLEDディスプレイは、よりコンパクトな設計でシステム統合が容易であり、ARデバイスメーカーの消費者向けプロダクト開発を後押しできるという。

同社は15年にマイクロLEDの研究開発に着手後、18年に最初のプロトタイプを発表し、21年に第1世代の単色製品を量産。22年と23年には0.85立方センチ、0.4立方センチの多色プロジェクターを相次いで発表しており、合肥工場第2期の生産も開始した。

MicroLED 2022リポートより、22~30年MicroLED応用ロードマップ

今回出資したBYDの幹部は「当社はマイクロLEDが究極のディスプレイ技術に発展する可能性が高いと考えている。JBDの技術力はマイクロLED分野で世界トップレベルにある。今回の出資を通じて、JBDと共にARや車載向けにマイクロLEDの応用を進めたい」としている。

(翻訳・大谷晶洋)

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