SDカードのように抜き差し可能なAIチップ 中科物棲がRISC-Vチップをローンチ

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エッジ向けAIチップがここ数年、AI領域のベンチャーキャピタルから熱い視線を集めている。「寒武紀科技(Cambricon Technologies)」や「地平線(Horizon Robotics)」、「深鑑科技(DeePhi Tech)」などはすでに名を知られた企業となっている。

昨年創業したばかりの「中科物棲(Jeejio.com)」もAIチップや関連製品の研究開発を手掛けている。他社と違うのは、自社で開発したAIチップとAI+IoTオペレーティングシステム「JeejioOS」をベースとする着脱可能な「超マイクロAIコンピューター」に重点を置き、これを基に製品やソリューションを顧客に提供している点だ。同社は7月18日、超マイクロAIコンピューターとRISC-V(リスクファイブ)チップを初めて公開した。

公式発表によると、同社が提供するAIチップは「JX1」「JX2」と名付けた2種類。「JX1」は55ナノプロセスを採用したヘテロジニアスデュアルコア型の RISC-V CPUで、プログラミング可能なAI特化型アクセラレーターと融合させた。既存のARM Cortex-Mシリーズと代替可能で、計算能力に一定の要求があるリアルタイム組み込み機器に適用する。産業用コンピューターやウエアラブルデバイス、低コストのスマート家具がそれに当たり、スマートメーターやスマートブレスレット、スマートソケットなどもこれに含まれる。「JX2」は中国初の実行可能なLinuxのヘテロジニアストリプルコア型のRISC-Vチップ。40ナノプロセスを採用し、クロック周波数は1GHzで、ARM Cortex-A7の水準にほぼ近い。30種類近い主要AIアルゴリズムモデルをサポートする。物体認識や物体検出、音声認識、自然言語処理などAIの要となる複数のタスクに適用する。

市場でよく見かけるAIチップの多くはARMのフレームワークをベースとしているが、同社のAIチップは2種類ともRISC-Vのフレームワークを採用している。同社はRISC-Vが支持されている理由として、多くのIoTデバイスに適合する優位性を持っている点を挙げた。

RISC-Vに関する研究開発を始めたのは2014年。同社CEOの張磊博士は中国で初めてRISC-Vフォーラムで講演した学者で、主任研究員の王元陶博士は、RISC-Vの開発に携わりチューリング賞を受賞したデイビッド・パターソン氏に師事した経歴を持つ。両博士は2015年、中国科学院計算所に「物端計算系統(Enabled Things Computing System)ラボ」を設立し、RISC-VのAI+IoTチップ研究開発に従事した。

AIチップを手掛ける企業の多くはAIチップをアルゴリズムと直接紐づけ、業界ソリューションに応用している。一方、中科物棲のロジックはこれとは異なる。同社は自社開発したAIチップをベースに超マイクロコンピューター「Jeejio」を開発。従来のコンピューターは大きい上、周辺機器は全てUSBで接続していたが、同社はコンピューターをSDカード並みに小さくすることで、身近にある全てのモノの手軽なスマート化を実現する。

中科物棲では現在、約150人が勤務している。設立から1年で2度の資金調達を実施した。
(翻訳・鈴木雪絵)

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