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東南アジア最大の配車サービス企業「Grab」はこのほど、ソフトバンクから20億ドル(約2200億円)を追加調達した。今回の資金は、次世代交通ネットワークの建設、医療などの基幹サービスに関する変更、インドネシアのジャカルタで予定している第二本社の建設に充てられる。資金調達により、Grabの企業価値は140億ドル(約1兆5000億円)を突破するとみられる。
Grabは今年3月、ソフトバンク・ビジョン・ファンド、トヨタ自動車、マイクロソフト、「平安資本(Ping An Capital)」などから14億6000万ドル(約1630億円)を新たに調達している。調べによると、今回の20億ドル(約2200億円)には3月に調達した資金が含まれている可能性が非常に高い。
過去の資金調達情報を見る限り、Grabの調達ペースはますます早まっている。今年上半期にはすでに4度の調達情報が報じられており、1カ月程前には資産運用会社「インベスコ」から3億ドル(約330億円)を調達した。Grabは以前、今年中に65億ドル(約7150億円)を調達する計画を発表しており、これは現時点での企業価値140億ドルの半分に相当する規模だ。
Grabの事業は、中国最大手「滴滴出行(Didi Chuxing)」や米Uberとは異なるベクトルに向かっている。Uberは運転技術を基盤とした無人運転やフードデリバリー「Uber Eats」といった業務を展開している。また、滴滴は登録ドライバー向けに自動車リース、メンテナンス、さらには売却といった一連の関連業務を一手に引き受ける「小桔車服」などのサービスを実施している。
これに対し、Grabが手掛ける事業は資金調達ペースの加速と相まり、複雑さを増している。主業務は金融サービスやオープンプラットフォームで、前者には滴滴やUberにはない独自性がある。決済業務「Grab Pay」は、現時点で8カ国で利用可能だ。またオープンプラットフォーム上でも映画館のチケット予約、地図、ホテル予約、シェアバイクなどのサービスを開始している。
今回の資金調達以降、Grabはソフトバンクと共同で、インドネシアでのEVエコシステムに基づく交通網の建設やジオマッピングの開発に投資していくという。さらにインドネシアで今後3カ月以内にe-ヘルスサービスを展開する計画だ。
モビリティ業界の勢力構図はおおよそ見えてきたものの、最終的な決着はまだついていない。このため、今回の投資は孫正義氏率いるソフトバンクがGrabに再び独占的投資を実施したものと定義できそうだ。ソフトバンクはGrabのシリーズD以降の資金調達にほぼ毎回参加しており、Grabにとっては資金面での強力な後ろ盾となっている。
ライドシェア業界での見境なくみえる投資の結果、滴滴(DiDi)、Uber、Grabとソフトバンクとの関係は複雑きわまりないものとなっている。Uberは中国市場で滴滴と合併し、滴滴の株式を入手した。また東南アジア市場から撤退する際にはGrabの株式を保有している。滴滴もソフトバンクと共同でGrabに出資しており、ソフトバンクはUberと滴滴の大株主でもあるという状況だ。
(翻訳・神部明果)
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