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「長安汽車(Changan Automobile)」が自主開発したレベル4の自動運転車に、36Kr編集部が試乗した。今回試乗した車種は「逸動(EADO)」シリーズのEVで、車体にはLiDAR(ライダー)6台、ミリ波レーダー5台、カメラ8台が搭載されていた。量産前のため、製造コストは100万元(約1600万円)を超えるという。
試乗区域内には5Gが導入され、信号機などのインフラには自動運転車用の信号を発するV2X(車車間・路車間)通信装置などが設置されていた。全長4.3キロメートルの車線には9カ所の停車ポイントが設けられている。
今回のデモンストレーションでは、「ロボタクシー(無人タクシー)」モードに設定された自動運転車を携帯電話のアプリで呼び、乗車時には顔が自動で認識され、所定の目的地まで向かうという一連のシーンを体験した。1回のタスクが完了すると、車両は次の配車要請を受けるか、または駐車場所を自動で探して停車する。
走行スピードは、通常の運転モードでは時速30~40キロメートルに設定されている。車両は全自動運転だったが、安全性の見地から運転席にはスタッフが乗車していた。
レベル4の自動運転に関する規定に従い、今回は封鎖されたエリア内のみでの走行となった。しかし、エリア内の道路は長安汽車が建設しているため行政の管轄外にあり、、一般車も自由に通行できるという半開放的な環境だ。走行中は終始ハザードランプを点灯し、周囲をバス、自家用車、歩行者が通っていたが、通行量は多くなかった。交差点で2台のバスと隣り合わせになった際にも自動で減速・停止し、バスが通り過ぎた後に左折していた。
自動運転車は、対向車とのすれ違い、追走、車線変更、右左折、Uターン、衝突回避、障害物回避、信号通過の全てのプロセスを無事完了した。
長安汽車の自動運転車が公開されたのはこれが初めてではない。同社は昨年8月、自動車スマート化戦略「北斗天枢(Dubhe)」を発表し、2020年までに発売する全車両をコネクテッドカーとし、運転支援システムを搭載すると宣言。その際に展示されたのが、今回試乗したレベル4の自動運転車だった。
ここ数年、既存の自動車メーカー各社はコネクテッドカーの開発に精力を注いできた。今後は携帯電話と同じく自動車のスマート化が進み、産業や技術の大変革をめぐって多大なビジネスチャンスが生まれるというのが共通の見方だ。自動車メーカーは無論のこと、IT業界の巨頭であるBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)までもがこのパイを奪おうと躍起になっている。
自主ブランドを抱える長安汽車は、スマート化技術の取り込みにも積極的だ。同社は自社の研究室で自動運転プロジェクトを推進しているほか、バイドゥの自動運転開発連合「アポロ計画」に参画。さらにアリババとはAIや車載システムへの活用に関する共同実験室を開設し、ファーウェイとはイノベーションセンターを共同で設立している。
さらに昨年8月には、新興EVメーカー「蔚来汽車(NIO)」と合弁会社の設立を宣言した。コネクテッドカーや新エネルギー車に関する技術開発などでの協業を進める予定で、両社がそれぞれ45%の株式を保有し、残り10%は幹部のインセンティブに用いられるという。
長安汽車との提携関係が最も緊密なのがテンセントだ。同社は2017年、コネクテッドカーに関する「AI in car」計画を発表しており、長安汽車は初期からの連盟企業の中に名を連ねている。それ以降さらに協力関係を深め、合弁会社「梧桐車聯(Phoenix Auto Intelligence)」の設立に至った。テンセントのIoV(自動車のインターネット)システムを搭載した長安汽車の「CS35 PLUS」は昨年10月の広州モーターショー以降、正式に販売・量産化された。後続の「CS75 PLUS」や「CS85 COUPE」にも、梧桐車聯のコネクテッドカーシステムが搭載されている。
長安汽車はすでにレベル2の自動運転技術が搭載された自動車の量産化に成功している。巡航走行や自動駐車などが可能で、高速走行中に先行車が減速した際には、先行車と同じスピードまで自動で調整されるという。
(翻訳・神部明果)
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