モバイルゲームも5G時代へ 半導体メーカーが必死の攻勢

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米クアルコムに代表される半導体メーカーが、モバイルゲームというニッチな分野に力を入れ始めている。

クアルコムは7月30日、IT大手テンセント(騰訊)とゲーム分野で提携すると発表した。ソフト・ハードウエアのよりよい統合により、モバイルゲーム体験を最適化するという。同社はまた、ハイエンドモバイル端末向けSoC(システム・オン・チップ)「Snapdragon 855 Plus」を発表。さらにソフト・ハードウエアが一体となったゲームプラットフォーム「Snapdragon Elite Gaming Experience(スナップドラゴン・エリート・ゲーミング・エクスペリエンス)」も発表、モバイルゲーム向けの機能をサポートしている。

ここ数年、「オナー・オブ・キングス(王者栄耀)」や「ゲーム・フォー・ピース(和平精英)」のような大型モバイルゲーム製作が緻密さを増しており、ハードウエアメーカーのイノベーションを促している。各スマホメーカーが新作発表会の場において、自社製品のゲーム体験を重点的に紹介していることからも、ゲームはスマホ向け半導体の機能をアピールする重要なアイテムになっているといえる。

今年1月には「王者栄耀」のニューバージョン「王者出征」が発表された。超高精細バージョンでは「PBR(フィジカルベースドレンダリング)技術」を採用することで、ゲーム画面の鮮明さとリアリティーを向上させることができるが、半導体に対してはより大きな処理能力が要求される。

今後、このような大型モバイルゲームの製作はより複雑化するだろう。これはハードウエアメーカーが絶えずモバイルゲームの最適化を進めている要因でもある。

数年前にはゲーミングスマホが注目を浴びることは少なかったが、ここ数年はスマホ向け半導体とモバイル技術が進化。高性能が求められるゲームに技術サポートを提供することで、徐々にユーザーの注目を集めるようになったという。

クアルコムがSnapdragon 855 Plusを発表する以前は、ゲーミングスマホは主にSnapdragon845や855を搭載していた。855 Plusは同社が初めて発表した「Plus」モデルであり、フラッグシップとなるSoCだ。主にGPUとCPUをアップグレードし、大型モバイルゲームの体験をよりスムーズかつリアリティーのあるものとした。

「5Gは最高級のモバイルゲーム体験を全く新しい次元のものとするだろう」とクアルコム製品市場ディレクターの秦牧雲氏は語る。

クラウドゲームは5G時代に爆発的ブームとなることが予想されており、通信、半導体、ゲームメーカーが先を争うように展開している。今年6月にはクアルコムと中国通信機器大手「中興通訊(ZTE)」が提携。その重点は現在のインターネット環境下で5Gクラウドゲームを拡張することであり、採用したクラウドゲームのソリューションはテンセントが提供したものだ。5G時代にはソフト・ハードウエア間、さらに通信メーカーの提携も4G時代より緊密なものとなるだろう。

もちろんクアルコムのような企業にとって、テンセントとの提携は一部分にすぎず、ゲーム分野だけに限って製品を開発することはない。同社の製品は特定の市場や特定の顧客ニーズのみに応えるものではなく、世界中の消費者、OEMメーカー、地域に向けて開発しているとのことだ。

現在、主要メーカーの製品はローエンドからハイエンドまでクアルコムの半導体を搭載しているが、5G時代、クアルコムには米アップルやファーウェイ傘下「海思半導体(HiSilicon)」などのライバルが存在しており、競争はまだ始まったばかりだ。
(翻訳・山口幸子)

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