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中国電子商取引(EC)大手「拼多多(Pinduoduo)」傘下の格安越境EC「Temu」が、日本向けサイトの運用を開始した。
Temuは2022年9月の米国でのサービス開始から1年足らずで、米国のほか、カナダや英国、ドイツ、オーストラリアなど18カ国向けに事業を展開。米アマゾンや中国発のファストファッションEC「SHEIN(シーイン)」の手ごわいライバルとなるまでに急成長した。
ブルームバーグ傘下の「Second Measure」によると、米国人が23年5月にTemuで消費した金額は、SHEINで消費した金額よりも2割近く多かったという。Temuは現在、米国のApp Storeでショッピングアプリランキング1位となっており、2位のSHEINと3位のアマゾンを抑えている。
Temuが取り扱う商品の多くは1つあたり10ドル(約1400円)以下とかなりの低価格だ。しかし、積極的な低価格戦略は巨額の損失を伴う。23年1~3月期の流通取引総額(GMV)は、割引後基準では約10億ドル(約1400億円)だが、割引前の定価基準では約20億ドル(約2800億円)になるという。同社は現在のところ、利益を度外視して顧客獲得を進めている段階だとみられる。
英テックメディア「WIRED」は5月末、Temuのサプライチェーンコストを分析し、同社が米国市場への参入で多額の投資をしており、注文1件につき平均30ドル(約4300円)の損失を出していると報じた。中国の招商証券(CMS)によると、Temuは年間5億8800万~9億5400万ドル(約800億~1400億円)の損失を出すことが予測されるという。
低価格戦略で市場シェアを確保した後、いかにして収益性の高いモデルを模索し、長期的な運営につなげていくかが、Temuの次の課題になるだろう。
*2023年7月8日のレート(1ドル=142円)で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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