桜の季節に中国人の爆買いを誘う?「Douyin EC」が仕掛けた新ライブコマース戦略

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桜の季節に中国人の爆買いを誘う?「Douyin EC」が仕掛けた新ライブコマース戦略

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世界的テック企業のバイトダンス傘下で、現在6億人のユーザーを抱える中国最大のショート動画プラットフォーム「「抖音(Douyin)」は、2020年にEC事業「抖音電商(Douyin EC)を立ち上げ、ショート動画とECを融合する新たなビジネスモデルで、中国EC王者のアリババやJDドットコムとは一線を画して大きな存在感を見せている。

Douyin ECは現在、中国と海外を繋ぐ越境EC事業に本腰を入れ始めている。さらに日本市場を最重要地域と認識し、22年に日本に初の海外拠点を設立した。

今年4月、Douyin ECは中国からの関心が高まる日本の桜の季節に合わせて、人気タレントやインフルエンサーを東京や大阪に招致し、現地から日本ブランドの販売促進を目的とするライブコマースキャンペーンを実施した。今後1年間でフランスや韓国、タイなど世界の人気スポット6地域を巡る計画だが、初回の訪問スポットに選んだのが日本だった。

日本商品に好感を抱く中国消費者はもともと少なくないが、さらにフォロワー440万人を誇るDouyin ECの公式チャンネルの圧倒的なトラフィックを通じて、これまで日本に強い関心のなかった層に対しても日本ブランドを強力にアピールした。公開データによると、イベント期間中、3万5000件の取引が行われ、最も多く視聴されたコンテンツは275万人、リアルタイムでの同時接続数も3万人を超えた。

今回のイベントでは、中国の消費者に好まれる美容・スキンケア・ヘルスケア商品が主に紹介されている。資生堂やSK-IIなどグローバルな日本ブランド以外に、アクシージア(AXXZIA)、MDC、クオリティファースト(QUALITY 1st)、&be(アンドビー)といった、これまで中国で露出の少なかったブランドへの注目度も高かった。ライブ配信会場にもなった@cosmeTOKYO原宿旗艦店は、売れ筋のフェイスマスク数千個の在庫が一瞬で完売したという。

中国向け販売にはライブコマースが欠かせない時代に

ここ数年で中国のライブコマース市場は爆発的な成長を遂げた。ライブコマースという形は、従来型ECの“一方的な発信”である写真やテキストによる展示と比べて、動画配信でより立体的な情報を取得でき、リアルタイムでブランド側とのコミュニケーションも取れるため、消費者が楽しみながら購入する新しいオンラインショッピングの手段となっている。

また、若者が多く利用するショート動画が、コンテンツマーケティングの重要媒体となっている。2212月時点で、Douyinのデイリーアクティブユーザー(DAU)は7億人を突破、1人当たりの平均使用時間は1140分で、ライブ配信の視聴回数は1日平均32億回を超える驚異的な数字となった。

そこで、Douyin ECは高度なレコメンドシステムを通じて、自社が抱える膨大な視聴データや動画コンテンツによって消費者の潜在ニーズをつかむ「興味EC(インタレストコマース)」という新しいマーケットを創出した。つまり、ユーザーの関心や嗜好に合わせた商品を提供することで、ユーザーの購買意欲を高められるということだ。

現在、中国市場に積極的に展開する日本のブランドは、既存のアリババのECモール「天猫」「淘宝」やテンセントのウイーチャット公式チャンネルを運営するほかに、次の施策としてDouyin ECを導入する動きが見られる。特に新たに中国で挑戦したい日本のブランドにとって市場開拓の良いチャンスになっているようだ。

Douyin ECはEC事業を強化するため、今後様々なリソースを惜しみなく投入していく予定だ。今年5月には、年末までに100億元(約2000億円)の現金投入と複数の支援策を通じて、事業者の出店やライブコマース全体のエコシステム構築を促進させると発表した。

ライブコマースで注目商品が即完売。桜の季節に「抖音電商(Douyin EC)」が日本ブランドを猛プッシュ

(36Kr Japan編集部)

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