中国で人気急上昇のオンライン共済プラットフォーム その現状と課題とは

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中国で人気急上昇のオンライン共済プラットフォーム その現状と課題とは

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アリババの関連会社「アント・フィナンシャル(螞蟻金服)」が運営する医療共済「相互保」(2018年11月27日に「相互宝」に改称)が人気を博している。

相互保は加入料が無料で、共済金を加入者で分担し合う仕組みなどが人気を呼び、「大病時の共済プラン」として、登場からわずか42日で加入者は2000万人に達した。

後に監督管理部門の指摘により、相互保は相互宝に改称するとともにアップグレードされ、その際に同共済は規約を変更し、加入者一人当たりの分担金額を188元(約3000円)に定め、それを上回る支出がある場合は、アント・フィナンシャルが超過した部分を負担することになり、管理費も8%に変更された。その後も相互宝の加入者は増え続け、7895万人に達し、共済金を受領した加入者は1000人以上に上る。

相互宝以外にも中国には幾つもの医療共済が存在するが、いずれも大病時の共済プランと位置付けられている。しかし、各共済によって「大病」の範疇が異なり、共済金額にも差があり、共済金の支払い時期もまちまちだ。

各医療共済のプラン設計は基本的に似通っている。中国における各年齢層の疾病罹患率などのデータを基に共済金の額を設定し、年齢と分担金または保障金額を連動させて、分担金の面で若者と年配者の間で公平を保つようにしている。また各プラットフォームは共済金の支払いまで一定の期間をとることによって、共済金の支払いと運営コストの間のバランスを取っている。

共済金の申請を処理する際に、プラットフォームではデータの分析技術によってリスクを管理し、オフラインの第三者機関と協力して事実確認を行い、最終的に共済金の支払いと各加入者による分担金額について、プラットフォーム上ですべてのプロセスを開示する。異議がなければ、相互宝は「支付宝(アリペイ)」を介して各加入者から分担金を徴収する。他の共済プラットフォームでは、第三者決済機関を介して徴収される。

当初、共済プラットフォームのシステムは保険会社のものを参考にして構成され、大病に特化した共済プランが立ち上げられた。しかし、監督管理機関の介入により、共済プラットフォームの保険業界での発展は一時的に閉ざされてしまった。同プラットフォームの今後の方向は注目に値する。

商業化:収益を上げられるかどうか

共済プラットフォームは収益を上げられるのだろうか。

相互宝の管理費は10%から8%に引き下げられたが、同社の話では技術面でカバーすることによりコスト削減を実現できたという。また、このことは共済プラットフォームに収益の面で一定の発展の余地があることを示している。しかし、モラルの見地からみると、共済プラットフォームの基盤は加入者間の信頼であり、プラットフォームが共済の運営から収益を上げようとするならば、社会的責任に反するとみなされ、プラットフォーム自体のイメージや今後の集客に不利な影響を及ぼしてしまう。

相互宝の責任者は、同プラットフォームの収益化を考えておらず、損益バランスを保つことを念頭においている。さらに同プラットフォームの別の目的として、「保険教育」という役割を挙げている。相互宝の加入者の56%は三級都市以下の地区に住んでおり、農村および県級都市の在住者が32%を占めている。これらの地域における保険の普及率は低いが、相互宝への加入により、人々の保険に対する認知度が向上している。

だが、開発者の見地からみると、共済プラットフォームには別の商業的価値がある。ある関係者の話では、共済に加入し分担金を負担した加入者の大半が後に同タイプの医療保険に加入しているという。そこで、まずは特定の商品で集客し、後に別のサービスで収益を上げるという方式をとることができる。つまりプラットフォームに保険の広告を出したり、認証を受けた企業の保険商品をプラットフォームで紹介したりすることにより、ユーザーは十分なデータに基づき、自分に合う保険を選んで加入することができるということだ。

しかし、問題点は共済プラットフォームがまだ商業化を推進できるほど成熟していないことだ。適切かつ安定した運営を保つことが、プラットフォームにおける当面の目標となっている。

ルール:情に左右される「請求審査団」

共済プラットフォームに加入すると、各加入者は定期的に分担金を支払うようになるため、同プラットフォームの運営を監督する権利が発生する。そこで、相互宝は今年初めに「請求審査団」制度を設けた。研修を受けて試験をパスした加入者が「審査員」になることができ、紛争案件に対して投票を行う。これまでの裁決において、審査団が、類似の状況下で時に共済金の支払いに賛成し、またある場合には反対するといったケースがみられている。

これは共済プラットフォームの紛争処理におけるジレンマといえる。民間保険会社では企業が規則制定者および紛争裁定者であり、紛争は司法手段によって解決されるが、相互宝では投票によってすべてが決まる。しかし、審査員にはルールや人情の面で一貫性がないため、ルールの制定において検討すべき点が非常に多い。民間保険企業では、オンラインおよびオフラインによる連絡で意思疎通を図ることができるが、共済プラットフォームでは何百万、何千万もの加入申し込み者に規則を事前に周知し、十分に理解させるのは並大抵のことではなく、そのためのコストも膨大なものだ。

共済プラットフォームは規則や運営の面でさらなる調整が必要であり、そうすることで様々な変化に対応することができるようになる。
(翻訳・虎野)

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