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電力貯蔵用蓄電池およびシステムを開発する中国スタートアップ企業「厦門海辰儲能科技(HiTHIUM)」(以下、海辰儲能)が、シリーズCで45億元(約870億円)以上を調達した。出資を主導したのは国寿股権投資(China Life Private Equity Investment)と金融街資本(Financial Street Capital)。同時に、上場要件を満たすためのコンプライアンス指導(プレリスティング・チュートリング)の申請が7月3日、証券監督管理委員会に受理され、国内投資者向けA株市場でのIPOに向けても動き出した。
海辰儲能は2019年に福建省厦門(アモイ)市で設立され、リチウムイオン電池のコア材料、リン酸鉄リチウムイオン電池とそのシステムの開発、生産、販売を手がけている。リチウムイオン電池に関わる技術では熟練しており、25Ah、50Ah、280Ah、300Ahなど幅広い容量の蓄電池を開発してきた。電池モジュールやクラスタ、蓄電池キャビネット、コンテナ型蓄電装置も提供している。
リチウムイオン電池の生産ラインは、原料の投入から出荷に至る全プロセスで製品データのトレースが可能になっており、品質や生産、設備、工程に関するリポートをオンラインで管理して、高度な自動化・インテリジェント化を実現している。最新の製造実行システム(MES)を導入し、RFIDやPCなどのデータチャネルを統合して工場の製造現場全体をカバーすることで、ビッグデータをリアルタイムかつ正確に収集できるようになり、多方面から製品の安定性や一貫性を確保しながら信頼性の高い蓄電システムを生産している。
研究開発やイノベーションにも力を入れており、毎年売上高の6%以上の研究開発費を投入して、低コストで安全、長寿命、エネルギー効率に優れた蓄電池の可能性を探り続けている。
同社の蓄電池の出荷量は2022年に5GWhに達し、業界でも目覚ましい成長を見せている。公式サイトによると、22年に中国で実施した蓄電池プロジェクト数と蓄電池出荷量の成長率はいずれも首位だった。現在は年産15GWhのリチウムイオン電池工場第1期部分が量産を開始している。年内に厦門市にある生産拠点の1期・2期部分が全て稼働すれば同社の蓄電池の年間出荷量は25GWhを超え、出荷数の伸びは500%以上になる見込みだ。
エネルギー関連メディア中国能源報によると、新型蓄電システム導入規模は26年に累計48.5GWhに達し、22年から26年にかけて年平均成長率53.3%のペースで急速に成長するという。中国メディア・中新網によると、中国工程院の陳立泉院士は7月1日に、中国の蓄電業界は新たな政策に後押しされて急成長期を迎えると述べ、25年には風力発電と太陽光発電が社会全体の年間電力消費量の約18%を占めるようになり、蓄電関連市場は100GWhを超えると予想した。
これを受けて、新エネルギー企業の多くが蓄電事業への参入を急いでいる。海辰儲能は引き続き発電サイド・送電網サイド・商工業向け蓄電システムなどのシーンを中心に、グローバル化戦略を進めていく考えだ。また安全性の高い蓄電池にフォーカスして、コア材料やバッテリー設計、システムインテグレーションなどさまざまな分野で綿密な研究を行い、知的財産権を確立していくという。
(翻訳・畠中裕子)
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