世界最大出力、16MWの洋上風力発電ユニットが中国・福建省で稼働

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世界最大出力、16MWの洋上風力発電ユニットが中国・福建省で稼働

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16MW(メガワット)という世界最大出力の洋上風力発電ユニットが7月19日、中国・福建省の洋上風力発電所で稼働を開始した。稼働済みの洋上風力発電ユニットとしては現段階で単機発電容量が世界最大、インペラー(羽根車)の直径が世界最大、容量1MWあたりの重量が世界最軽量になる。これは大容量洋上風力発電ユニットの開発・運営において中国が世界をリードする水準に達したことを象徴するものだ。

この洋上風力発電ユニットは国営電力会社の「中国長江三峡集団(China Three Gorges Corporation)」と風力発電システムを開発・製造する「金風科技(Goldwind Science & Technology)」が共同で開発した。ハブの中心までの高さは152メートル、インペラーの受風面積はサッカーフィールド7面分に相当する約5万平方メートル。一般的な容量8MWの洋上風力発電ユニットに比べ、海域の占有面積を35%以上も縮小できる。

一定の動作条件下における1回転あたりの発電量は34.2kW時(キロワット時)。年間発電量は6600万kW時で、3人世帯の3万6000世帯が1年間で消費する電力を賄える。

中国では陸上風力発電よりも洋上風力発電のほうが風力資源が豊富だ。洋風力発電なら用地取得費も大幅に節約でき、電力使用負荷の集中する中国中東部に近い立地で発電できるため、送電や電力消費に都合が良い。

しかし、技術面では洋上のほうが施工の難易度が高く、最終的な建設コストは陸上よりはるかに高くなる。そこで発電ユニットを大型化させ、発電量を増やすことでコスト比率を下げる方法が採られるようになった。

さらに風力発電ユニットのスマート化も重要な要素になっている。風力発電分野でIoTやビッグデータ、AIなどの応用が進むにつれ、近代的なスマート風力発電では温度や湿度、風速などのデータを検知できるようになり、デジタル機器を活用して発電ユニットの運転状態をリアルタイムで追跡できるようになった。

気象条件が複雑な洋上では、発電ユニットが台風や雷雨など悪天の影響を特に受けやすいため、安全に運用するうえでリアルタイムかつ正確に天気を予測する技術がきわめて重要となる。

「風力発電はこれまで天候に左右されてきたが、現在のスマート発電機は数百個のセンサーやLiDARを全体に搭載している。風速や風向などを前もって予測し、発電ユニットの運転計画を調整して発電量を最大化できるようになった」。金風科技の取締役兼総裁の曹志剛氏は先日、メディアにこう述べている。

中国の風力発電機メーカーはより大容量の発電ユニットをリリースし続けると同時に、風力発電スマート化プラットフォームの構築を積極的に進めている。例えば、金風科技は台風警報プラットフォームやSCADA(監視制御・データ取得)プラットフォームを独自に開発しているほか、「明陽智慧能源集団(Mingyang Smart Energy Group)」も今年5月にAIを導入した深海・遠海総合エネルギー管理プラットフォーム「Deep Fusion X」などをリリースした。

画像出典:金風科技

中国の風力発電ユニットは近年になって発電容量や価格、サプライチェーンなどグローバル市場で戦える優位性を打ち立てている。ある統計では、世界の6割近い風力発電設備が中国製だという。

産業の規模で見ると、中国の風力発電機の導入容量は12年連続で世界一で、2022年末時点で累計30.51GW(ギガワット)、グローバル市場の53%を占めている。また、中国の風力発電設備の輸出量は容量ベースで1193万kWで、輸出先は49の国・地域だ。

また、中国の洋上風力発電は導入規模が2021年から2年連続で世界首位となっている。

現在、中国の洋上風力発電プロジェクトは近海に集中しているが、近海の風力資源が飽和に近づき、海域の利用が制限されるようになったため、開発のターゲットは深海や遠海に移っている。洋上風力発電市場の伸びしろはより一層広がりそうだ。

(翻訳・山下にか)

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