経営危機の中国・恒大集団が約1年半ぶりに取引再開、時価総額がピーク時の約100分の1に

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経営難に陥っている中国不動産開発大手「中国恒大集団(China Evergrande Group)」が、上場廃止まで20日あまりに迫った8月28日、約1年5カ月ぶりに香港市場で株式の取引を再開した。同日の取引終了時の株価は78.79%安の0.35香港ドル(約6.5円)で、時価総額はわずか約46億香港ドル(約850億円)。2017年の最高額4390億香港ドル(約8兆1400億円)から大幅に縮小した。

恒大集団は同日、外貨建て債務の再編協議3つを予定していたが、いずれも9月下旬に延期すると発表した。協議では合計1400億元(約2兆8100億円)以上にもなる外貨建て債務について、借換債の発行や関連会社の株式への転換を提案する予定だ。

今回の取引再開に先立つ7月28日と8月3日には、子会社のEVメーカー「恒大新能源汽車集団(Evergrande New Energy Auto Group)」、以下「恒大汽車」)と不動産開発企業「恒大物業集団(Evergrande Property Services Group)」が株式の取引を再開している。外貨建て債務の再編が順調に進むかどうかは、この2社の事業が継続できるかにかかっている。

今回の取引再開前には、恒大物業が預金134億元(約2700億円)を不適切に流用した問題についても追加説明をした。創業者の許家印会長は関連文書に署名した事自体は認めたが、自身の関与は否定したという。一連の問題を調査していた独立調査委員会も、許氏の主張を認めている。

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決算発表でわかった成約額の深刻な減少

恒大集団は、取引再開前日の27日に2023年1〜6月期連結決算を発表している。6月末時点での負債総額は2兆3800億元(約47兆6600億円)で、契約負債の6039億8000万元(約12兆1000億円)を差し引いた約1兆7800億元(約35兆6500億円)のうち、借入金が6247億7000万元(約12兆5100億円)だと明らかにしている。

また、営業損失は173億8000万元(約3500億円)、純損失は合計392億5000万元(約7900億円)で、手元現金は133億8100万元(約2700億円)だった。

成約額は334億1300万元(約6700億円)で、2021年上半期の3567億元(約7兆1400億円)から大きく減少した。また、6月末時点で保有する土地(使用権)は1億9000万平方メートルで、参画中の再開発プロジェクトは78件だという。

2700億円の資金流用、創業者が関与について釈明

2022年3月、子会社の恒大物業が預金の134億元(約2700億円)を不適切に流用した問題が明るみに出て、恒大集団・恒大物業・恒大汽車3社の株式は香港市場で取引停止となった。恒大集団はこのほど取引を再開するにあたり、この問題に関する調査結果の追加説明を発表している。

2020年12月28日から2021年8月2日にかけて、恒大物業の関連会社6社は銀行8行を通じて預金を第三者企業に融資の担保として提供し、第三者企業が借り入れた資金を複数のルートを通じて恒大集団に流していた。

独立調査委員会の調査によると、恒大集団は2020年12月中旬から下旬にかけて、上記の方法で資金を調達して運転資金に充てていた。この期間、一連の資金流用に関連した文書に接触、またこれを所持し、社内の資金状況を知り得た取締役は許家印会長と夏海鈎氏、潘大栄氏の計3人だということがわかっている。

許会長はこれについて、該当の文書を詳細にチェックしたことも、特に注意を払うよう促されたこともないと説明している。独立調査委員会では、同氏のこれらの説明が過去に述べていた内容と一致しており、問題の期間中、会社の財務や資金についてはそれぞれの責任者に一任していたため、同氏が関連の文書を詳細に目を通すことはなかったと認めている。

夏海鈎氏と潘大栄氏については過去に発表された通り、一連の問題に関与したとして夏氏はすでに退職、潘氏はすでに更迭されている。

独立調査委員会は、関連する事実が十分に明らかになり、関係した人物はすべて洗い出したとして、追加調査の結果も2月に発表済みのものと一致すると結論づけた。

子会社の恒大物業は業績上向く

恒大グループの中で現在唯一、キャッシュフローがプラスとなっているのが恒大物業だ。

8月24日に発表した2023年1〜6月期決算によると、売上高は前年同期比6.2%増の61億5000万元(約1200億円)、親会社に帰属する純利益は同42%増の7億8000万元(約160億円)だった。

同社の事業規模は現在でも業界トップクラスだ。2023年6月末時点で成約面積は合計約8億1000万平方メートル、管理面積は5億1000万平方メートルとなっている。

恒大物業の株式は恒大集団よりも早く取引を再開した。取引再開初日の8月3日、株価は50%以上下落。同月28日の終値は0.67香港ドル(約12.4円)で、時価総額は約72億香港ドル(約1300億円)だった。

恒大汽車の株式も7月28日に取引を再開した。8月28日の終値は1.22香港ドル(約22.6円)で、時価総額は約132億香港ドル(約2400億円)だった。

恒大汽車の2023年1〜6月期の売上高は1億5500万元(約30億円)、純損失は前年同期比48.6%減の68億7300万元(約1400億円)だった。

同社は8月15日、アラブ首長国連邦(UAE)のEVメーカー「NWTN(紐頓集団)」から5億ドル(約700億円)の戦略投資を受け入れると発表した。NWTNは5億ドル分の新規発行株式を取得することで恒大汽車の株式の約27.5%を保有することになる。NWTNは米ナスダック市場に上場する企業で、UAE資本だが経営者は中国出身者だ。

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(翻訳・山下にか)

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