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中国の超大手テック企業テンセント傘下で音楽配信サービスなどを手がけるテンセント・ミュージック・エンターテインメント(TME)が先月中旬、2019年第2四半期の決算報告を行った。売上高は前年同期比31%増の59億元(約880億円)で、うちSNS・エンターテインメント事業が43億4000万元(約640億円)、オンライン音楽サービス事業が15億6000万元(約230億円)を占めた。
営業利益は同7%増の10億9000万元(約160億円)、純利益は同3%増の9億2800万元(約140億円)だった。全体的に見て安定した成長を続けていると言える。
TMEの売り上げを支えているのは、ユーザー数、課金率、ARPPU(課金ユーザー1人当たりの平均収益)の三つだ。
ユーザー数が過去最多に
今四半期、SNS・エンターテインメント事業のアクティブユーザー数は前年同期比4.8%増の2億3900万人、オンライン音楽サービス事業のアクティブユーザー数は同1.2%増の6億5200万人だった。二事業合わせて延べ8億9100万人に達し、過去最多となった。
中国のデータ調査機関「QuestMobile」によると、中国のモバイルインターネットのアクティブユーザー数は11億3600万人(今年6月時点)だ。つまり、モバイルインターネット利用者のうち、半数以上がTMEの音楽配信サービスを利用している計算になる。ユーザーの囲い込みに成功したTMEが次に考慮すべきなのは、マネタイズだと言える。
課金率も上昇中
今四半期、SNS・エンターテインメント事業の課金ユーザーは前年同期比16.8%増の1110万人、オンライン音楽サービス事業の課金ユーザー数は同33.0%増の3100万人だった。いずれの伸び率も前四半期を上回っている。TMEのユーザーには有料サービスを利用する傾向が強まっている。
動画サイトのユーザーには課金利用の習慣が徐々に根付きつつあるが、消費やSNS、音楽などの分野でも同様の傾向が見られる。
伸びが期待されるARPPU
今四半期、SNS・エンターテインメント事業ユーザーのARPPUは前年同期比16.5%増の130.2元(約1900円)で、過去最高だった。一方、オンライン音楽サービス事業のARPPUは同水準で推移している。
人気ソーシャルプラットフォームを代表するライブ配信「虎牙直播(HUYA)」、ゲーム実況「闘魚(DOUYU.COM)」、位置情報SNS「陌陌(MOMO)」の2019年第1四半期のARPPUをみると、いずれも200元台(約3000~4400円)に達している。つまり、TMEのARPPUには大きな成長の余地が残されていると言えよう。
海外市場にもある伸びしろ
カルチャーやエンターテインメントを手がける多くの中国企業では、この1年間、「海外進出」が重要戦略に位置付けられていた。TMEも例外ではない。
TMEはカラオケアプリ「全民K歌(We Sing)」をひっさげて海外進出を開始。東南アジア市場を開拓している。過去3カ月で、全民K歌はGooglePlay(音楽カテゴリ)のダウンロード数ランキングで、フィリピンでは1位、タイ、インドネシア、マレーシアでは上位2位以内に入っている。
海外進出にあたり、同アプリは無料ログインやオフライン利用など、各マーケットの現地事情に合わせた展開を行っている。また、学校や商業施設でライブやファンミーティングを行うなど、オフラインイベントも重視しており、オンラインとオフラインを繋ぐコミュニティの形成を進めている。
巨大エコシステムの恩恵
TMEの強みは、母体のテンセントが有する巨大なエコシステムを存分に活用できることだ。テンセント系列にある映画やドラマのサウンドトラック、ゲーム音楽をオリジナルコンテンツとして提供できる。さらに、サードパーティーとも提携して車載エンタテインメントシステムやスマートスピーカーへの接続も進めている。これらの機器の普及が進めば、将来的に有望な成長源になるだろう。大きな成功例としては、テンセントゲームズが配信する人気タイトル「王者栄耀」から派生したシングル曲「Wake Me Up」がヒットチャートをにぎわせたことがある。
より多くの利用シーンを創出し、UX(顧客体験)の質を高めるために、外部との協業にも積極的だ。特に重視しているのは車載エンタテインメントシステムとスマートスピーカーだ。前者に関しては、国内の主要トップブランドとすでに提携し、多くのカーオーナーに最新の音楽体験を提供している。後者についても、国内のトップメーカー2社と提携して音楽コンテンツを提供している。
市場調査会社ストラテジー・アナリティクスによると、今年第1四半期、スマートスピーカーのグローバル出荷台数は前年同期比168%増の2590万台だった。TMEが提携するシャオミ(小米科技)は世界シェアを13%にまで伸ばしている。
エコシステムを介したコンテンツの連携にしても、消費シーン拡大のための戦略的提携にしても、TMEの成長モデルはすでにひな形を整えたと言っていい。
(翻訳・愛玉)
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