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巨大な人口を抱える東南アジアは中国企業を引きつけてやまない。そのうち、人口が世界第4位で東南アジア諸国連合(ASEAN)最大の経済規模を誇るインドネシアには多くの企業が進出する。そのインドネシアで設立2年足らずの「Metoo」は年間売上高が1億元(約20億円)を上回る、現地では非常にポピュラーな高価格帯マウスウォッシュの国際ブランドだ。
MetooはTikTokで火がついた。TikTokのEC事業は急成長し、インドネシアのECプラットフォーム業界でも勢力を伸ばしている。メディアの報道によると、TikTokのEC事業は2022 年に、インドネシア市場での月平均GMV(流通取引総額)が2億ドル(約290億円)に達し、さらに東南アジアの他の市場にも拡大しているという。Metooは実店舗でも販売しており、創業者の呉少瓏氏は「現在約6万店舗で販売している」と話す。
現地入りして需要を予測
呉氏はチームを率いて2021年末にインドネシアで市場調査を実施した。インドネシアの人口は東南アジアの半分を占め、小売りやサービスでITを活用する新たな消費スタイルを受け入れる若年層が多い。また、当時TikTokはインドネシアに進出して間もない頃で、売り手にとっては進出するベストのタイミングだった。
マウスウォッシュはインドネシアで特に需要が多いが、これには現地の宗教が関係している。人口の87%はムスリム(イスラム教徒)であり、1カ月間の断食をするラマダン期間中は1日に2回入浴や歯磨きをして体を清潔に保つ。そのため、マウスウォッシュの需要は非常に高く、250mlのマウスウォッシュを1人で月に3〜4本使用する。また、ラマダン期間中は仕事や飲食がストップする(毎日明け方3時から16時まで飲食をしない)ため、ショッピングは人々の最大の気晴らしになる。
呉氏は「当時インドネシアではマウスウォッシュは店頭販売がメインでオンライン販売はほとんどなかったため、これはブルーオーシャン市場だと思った。まずTikTokでブランドを広め、オンラインの販売を増やした」と話す。
商品のポジショニングでは、Metooも若者の好みに寄せている。従来のマウスウォッシュは刺激が強くアルコールを含み、パッケージや香味はどれも似たようなものだった。そのため、Metooのマウスウォッシュは「殺菌」機能よりも「歯の美白」に重点を置くようにした。
Metoo は白桃、レモンなどの香味を用意して「善玉菌」というコンセプトで差別化を図り、購買力の比較的高い若者をターゲットとしている。中〜高価格帯に設定し、世界的ブランドのリステリンより30%高い。
オンラインで成功した後、実店舗に進出
インドネシアの消費財市場は世界の大手ブランドが独占しており、マウスウォッシュではリステリンがオフライン市場で80%のシェアを握る。EC市場の調査会社eCommerceDBの統計によると、インドネシアの小売市場においてオンライン販売の割合は2022年にわずか9.6%にとどまり、依然として実店舗での販売が中心だ。Metooのマウスウォッシュは店舗での売上高がオンラインの5倍に達し、月平均150万~200万本売り上げている。
呉氏によると、同社は2022年6月にTikTokで200万本売り上げ、マウスウォッシュのオンライン販売本数で1位になった。その後、急いで実店舗販売チームを立ち上げたという。店舗での販売開始後も、Metooはオフラインのマーケティングを非常に重視している。例えば毎月の給料日だ。大多数のインドネシア人は貯金の習慣がないため、月末の給料日は大事な買い物の日になる。給料日は商業施設やスーパーにとって重要な日だ。
呉氏は「スーパーの陳列棚の位置は変えることができる。スーパーに棚の位置の変更を求め、陳列位置を基に販促を実施する。例えば給料日から2日間はMetooの商品を3段目の棚から5段目に移し、さまざまな販促ツールを準備して割引を実施し、スーパーの売り場スタッフにも販売奨励金を支給する」と話す。
Metooチームは現状に満足せず、単品で5億元(約100億円)を売り上げる商品を目指す。マウスウォッシュだけでこの規模にするのは難しいため、今後スキンケア商品を販売する計画だ。トーニングローションで試し、マウスウォッシュと同じモデルで販売拡大を目指す。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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