失速した中国シェアサイクル 業界再編を経て大手同士の争いに

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失速した中国シェアサイクル 業界再編を経て大手同士の争いに

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今年の夏、通勤時間帯の路上を色とりどりのシェアサイクルが行き交っていた。運営会社ごとに異なる車体の色が業界再編を物語っている。白は「哈囉出行 (ハローバイク)」、黄色は以前からある「ofo」。O2Oサービス大手「美団点評(Meituan Dianping)」に買収された「モバイク(摩拜単車)」も車体の色がオレンジから「美団カラー」の黄色に変更された。ライドシェア大手「滴滴出行(Didi Chuxing)」が買収した「小藍単車(Bluegogo)」は「青桔単車」に変わり、車体の色もティファニー・ブルーとなった。

現在のシェアサイクル市場は、参入企業が多く資本にも活気のあった3年前とは全く様相が異なる。

大手に買収されても甘くない現実

昨年の投資の冷え込みと業界再編を経て、資金力に依存していた企業は淘汰されるか、大手に頼ることでどうにか生き残った。頼る先として、モバイクは美団を、ハローバイクはアリババを、小藍単車は滴滴出行を選択した。

ただし、これはシェアサイクル企業にとってはやむを得ずとった選択だった。買収されることで生き残ることはできても、主導権を失ってしまうからだ。

例えばモバイクは美団に買収されたのち、トレードマークだったオレンジの車体を黄色に変更させられた。ユーザーアカウントも美団のものに置き換えられ、利用も美団アプリを通じて行うようになった。さらには美団の決算書においてモバイク単独でのコストや利益は算出されず、関連する記載もごくわずかだった。

利益を出すには?再び始まった戦い

大手に買収されたとはいえ、シェアサイクルはそれほどうまみのある商売ではなくなった。社会も変化し、以前のようにどこにでも乗り捨てられるわけではない。また、車両の公的管理や回転率の低さなどの問題は依然として解決していない。車両の公的管理は将来的な市場の割り当てに、車両の回転率は利益率に直結する問題だ。

2017年9月、北京市がシェアサイクルの新規導入を制限。その後各都市もそれに続いた。昨年、北京市はシェアサイクル数の上限を191万台に設定。しかもその数を「減らすことはできても増やすことはできない」ことを規定した。これは新規導入を制限した時点と比べ、シェアサイクルの総数を2割以上減らす計算だ。

さらにデータによると、2018年上半期、北京地区のシェアサイクルの利用回数は1日当たり延べ142万回。つまり1台当たり1日平均0.7回しか利用されていないことになる。加えて余剰車両や古くなった車両の処分により、各地で車両が山積みにされる「シェアサイクルの墓場」が生まれていることも問題となっている。

とはいえ、シェアサイクルは公益事業ではない。大手企業も利益を上げることを意識し始めている。

シェアサイクルの売上を左右する規模以外の要因として、客単価があげられる。今年4月、モバイク、ハローバイクなどが次々と北京で料金の値上げを発表。従来の15分0.5元から1元に改定した。7月にはモバイクが複数の省・直轄市でも初乗り料金を引き上げた。

こうした業者間の競争が以前よりも理性的だという事は安心材料だ。大規模な投資や海外進出の道が閉ざされている中、各社は運営に工夫をこらし、車両の回転率は以前より大幅に改善されている。

データから見ると、北京では上半期、モバイクの1日あたりの回転率は1台あたり1.7回、ハローバイクは1.6回、平均では0.84回と前年同期の0.7回より改善がみられた。情報筋によると、上海では通勤ラッシュ時間帯のモバイクの回転率は1台あたり3~4回にも達するという。シェアサイクルの回転率にはまだ大きな成長の余地があるということだ。

では、シェアサイクル業界で勝者となるのは誰か。

その答えは買収した大手企業ではなく、ユーザーが持っている。大手企業の参入は業界再編を加速した。運営能力の高い企業が競争に勝ち残り、シェアサイクルの使用体験を向上させれば、例え価格が上がったとしても許容範囲内とみなされるだろう。悩ましい公的管理の問題は、今まさに企業と当局双方が解決を図っているところだ。

シェアサイクルのこれからの戦いは運営能力を競うものとなるだろう。車体の色の変化はその始まりに過ぎない。
(翻訳・山口幸子)

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