中国でもCD・レコードプレイヤー復権。若者向け高価格品異例のヒット

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中国でもCD・レコードプレイヤー復権。若者向け高価格品異例のヒット

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アリババグループ傘下の大手ECサイト「天猫(Tmall)」のCDプレーヤー最新売れ筋ランキングでは、上位に名を連ねる商品のほとんどが200 元(約4000円)前後だ。その中にあって中国オーディオメーカー「賽塔林(Syitren)」の「R200」は、799元(約1万6000円)という飛びぬけた高価格にもかかわらず、4000台以上を売り上げている。

賽塔林は2017年の創業で、若い世代の音楽愛好家向けにCDプレーヤーやアナログレコードプレーヤーなどを販売する。さらにラジオの音楽番組やミュージックビデオ、レコードの制作、コンサート開催、その他音楽に関わる活動など、さまざまな音楽コンテンツを手掛けている。

賽塔林が2022年に発売したCDプレーヤー「R200」は、同社のヒット商品のひとつだ。スピーカー一体型のすっきりとしたデザインで、ブルートゥース機能も搭載し、多くのユーザーを獲得した。同社が初めて販売したこのCDプレーヤーは、先行予約で予想を上回る2800台が売れた。

賽塔林のCDプレーヤー「R200」(同社公式サイトより)

ターゲットは若者、ニッチ市場でも大きな需要

ストリーミングメディアの時代にありながら、フィジカル(CDやレコードなど実物のある媒体で供給される音楽)市場がいま密かに勢いを取り戻しつつある。国際レコード産業連盟(IFPI)の「Global Music Report 2022」によると、世界の音楽産業の2021年売上高は前年比18.5%増の259億ドル(約3兆8300億円)となり、過去最高だった1999年の241億ドル(約3兆5600億円)を上回った。そのうちレコードとCDの売上高は実に50億ドル(約7400億円)に迫る勢いだった。

CDの売上高は2000年以降で初の前年比プラスとなり、20年の4億8300万ドル(約710億円)から21年は5億8400万ドル(約860億円)に増加した。なかでもアジア市場の功績が最も大きかった。レコード市場も同様に、21年の売上高は前年比51.3%増だった。

賽塔林はフィジカル復活の機運が高まっていると見て2017年にレコードプレーヤーに参入、20年からはCDプレーヤーも手掛けるようになった。共同創業者でブランドマネージャー兼デザイナーを務める張恕氏によると、中国市場で上位に入るレコードプレーヤーの多くは海外ブランドで、価格が高く、維持コストもかさむ。ところが、こうした製品のサプライチェーンは中国国内にあり、設計と開発だけを海外で行っている。また機器の外見やインターフェースのデザインは市場規模が大きい欧米のユーザーに向けたものになっているため、中国ユーザーのニーズとはズレがある。

スタートアップ企業が人気商品を生み出す最大のカギは、独自の路線を見極めることだ。

オーディオプレーヤー市場では、日本のSONYやオーディオテクニカ、オーストリアのプロジェクト・オーディオ、オランダのフィリップスなど実力を備えた老舗に加え、賽塔林や「橙迪(OrangeDi)」「巫 SoundDesigner」といった新興勢力がひしめき合っている。並外れた実力を備え、長年にわたりファンを増やし、多様な製品を生み出してきた老舗ブランドに対抗するため、賽塔林は全く異なる道を選んだ。

賽塔林はユーザーの評価やフィードバック収集、バンドのサポート、音楽フェスの開催などを通じ、40歳以下をターゲットに定めた。そして、製品ラインは仕事や生活スタイルに合わせ2種類を用意した。ひとつは生活スタイルを重視したもので、メインはレコードプレーヤーだ。空間のイメージや利用シーンを強調し、価格は若干高めに設定した。もう一方はCDプレーヤーをメインに、スタイルと機能性を重視したデザインにした。

賽塔林「PARON」シリーズのレコードプレーヤーとCDプレーヤー「R300」(同社提供)

賽塔林のチームは約40人で、全員が30歳以下だ。自社で開発した製品をOEMで製造している。販売ルートは現時点ではオンラインが中心だが、小売店とのコラボ、音楽関連の催しなどオフラインのルートも広げている。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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