AIでオリジナル商品動画を生成する「FancyTech」、ECの購入率を数十倍に

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

AIでオリジナル商品動画を生成する「FancyTech」、ECの購入率を数十倍に

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

AIを用いたEC用動画作成サービスを提供する「FancyTech(時代涌現)」がこのほど、シリーズBで約1億元(約20億円)を調達した。リードインベスターはDCMベンチャーズ、既存株主の金沙江創投(GSR Ventures)や華山資本(WestSummit Capital)などが参加した。

FancyTechは2020年4月に創業され、EC用の動画制作に注力している。小売ブランドが自社のEC店舗のアカウント権限をFancyTechに付与すると、FancyTechの独自モデルがナレーションや音楽、字幕などが付いた商品の紹介動画を自動で生成する。さらにユーザーデータのフィードバックに基づいて自動で修正を加え、動画のクオリティを上げていく。他社の生成ツールと異なるのは、FancyTechはコンテンツの質の高さに力を注ぎ、顧客側は何もしなくていいこと、そしてオリジナリティが高く、ユーザーの定着率が高いことだ。

大手ECサイトの淘宝(タオバオ)、抖音電商(Douyin EC)、京東(JD.ドットコム)などがこぞって動画を導入するようになり、出品ブランドはあらゆる商品を動画で紹介する必要が出てきた。またユーザーの嗜好に合わせ、受け手ごとに異なる動画に仕立ててコンバージョン率(購入率)を上げたいと考えるようになった。人の手で作るこれまでの動画は1本あたり100元~500元(約2000円~1万円)のコストがかかり、大量制作するのは難しいことから、AIを使った動画の自動生成は大手ブランドにとってなくてはならないものとなった。FancyTechによると、AIを使うことでコストを90%削減でき、制作数に制限がなく、コンバージョン率が従来型動画の数十倍にもなるという3つのポイントが導入の決め手となるという。

FancyTechを創業したWilliam Li氏は、基盤モデルとアルゴリズム担当チーム構築へのリソース投入を重要視していると語る。すでに独自の特化型AIモデル「FancyGPT」を開発し、独創的な動画脚本を自動生成できるようになった。並行して、自然言語処理(NLP)、画像、マルチモーダルAIのアルゴリズムでトップレベルの専門家を招聘し、数十人規模のアルゴリズム専門家チームを立ち上げた。

続いて、FancyGPTをコアとして2つのプロダクトラインを開発した。ひとつは3Dレーザースキャナーを使った商品のモデリング機能だ。Li氏によると、多くのブランドが動画に高いクオリティを求め3D動画の生成を希望するが、これまでのやり方では制作コストがひとつの商品につき平均で1万元(約20万円)を超える。FancyTechを利用して制作した3Dモデルは繰り返し使用でき、撮影コストを大幅に抑えられる。

もうひとつはクリエイティブプランだ。AIの生成する動画は一般的な広告に並ぶレベルになったものの、広告会社が多額の費用をかけて制作した動画 には及ばなかった。そこでFancyTechは優秀なクリエイティブディレクターを集め、専門家の力でAIモデルの制作力を引き上げた。同社のAI生成動画のクオリティはハイブランドの広告に引けを取らず、すでに多くの顧客が利用している。

Li氏によるとFancyTechには強みが3つあるという。まず、他社に比べ立ち上がりが早く、プロダクトの実力がすでに実証済みで売り上げも立っていること。次に、データのクローズドループを確立し、質の高いデータを収集、さらに多くのユーザーが利用することで、効率よくフィードバックを得ていることだ。最後に、自主開発した特化型AIモデルを持ち、競争力のあるプロダクトを提供していることだ。

同社はアパレル、スポーツ、化粧品、3C製品(コンピュータ、通信機器、家電)、高級品など多岐にわたる300以上の有名ブランドと契約しており、1カ月の売上高は1000万元(約2億円)に迫っている。

FancyTechの中心チームは主にアリババグループの出身だ。Li氏は以前、アリババ傘下のラグジュアリー商品専門EC「Tmall Luxury Pavilion(天猫奢品)」の初代責任者だった。チーフサイエンティストの常征氏もかつてアリババのテクニカルディレクターを務め、著名学術誌で多くの論文を発表している。

海外市場進出に向けても準備を進めている。海外市場に合わせ規格化したSaaS製品を開発し、日本や韓国を起点に、プラットフォームの公開や現地代理店向けのサービス提供を通じて徐々に世界に拡大する計画だ。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録