進む「低空経済」を見据え 中国新興企業、ドローンの目視外飛行システムの商用化を模索

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ドローン運航管理システムの開発を手がける中国スタートアップ企業の「安擎科技(ARCGine Technologies)」が、エンジェルラウンドで元和資本(Yuanhe Capital)と格力集団(GREE Group)傘下のファンドから数千万元(数億~十数億円)を調達した。資金は、目視外飛行向け自律飛行システムの商用化と市場開拓に充てられる。

安擎科技は、安全かつ管理可能な自律飛行技術を提供するドローン運航管理サービスおよび機器プロバイダーで、主要製品としてドローン運航管理(UTM)ソフトウエア「SafeSky」、ドローン搭載用目視外自律飛行スマートボックス、目視外自律飛行ドローンなどを展開する。

製品マップ

2022年以降、世界ではドローンなどの普及により地上1000メートル未満の「低空空域」を活動範囲とする一連の産業が「低空経済」を生み出しており、市場は大きく発展すると見込まれている。

中国国務院中央軍事委員会は6月に「無人航空機飛行管理条例」を発表し、中国の低空空域交通が安全規制を出発点として健全で秩序ある発展の新たな段階に入ったことが示された。海外でも欧州連合(EU)や米連邦航空局(FAA)で無人航空機に関する規制政策が可決されている。

業界リサーチによると、世界の民用無人航空機産業はすでに急成長期を迎えており、2021年の市場規模が前年比61%増の1600億元(約3兆2000億円)を超えたという。無人航空機は農林業、電力巡回検査、気象、海洋調査、リモートセンシング・地図作成、物流、緊急救援などの分野で広く活用されている。

低空経済の市場は大きな可能性があるものの、汎用化と大規模化を進めるうえで難しい問題に直面している。

安擎科技の創業者・劉瑩氏によると、空域の安全を保障する目視外自律飛行技術はドローンサービスの大規模運営を実現するうえで最も重要であり、現在90%以上のドローンが目視外飛行での運航を必要としているという。

目視外自律飛行技術を導入したドローンは、リモコンや地上からの無線通信距離外でも安全な飛行ができる。危険の「検知と回避(Detect and Avoid、DAA)」は基幹技術の1つだが、業界のボトルネックにもなっている。

ドローン運航管理ソフトウエア

従来の遠隔操作によるドローンの目視外飛行は、運航コストの高さ、潜在的な危険、複数機の効率的な連携ができないなどの問題があった。例えば消防救助に活用する場合、従来のドローンは飛行経路をコントロールする操縦者が1人必要で、各消防署はドローン1台に対して3人以上の操縦者を配置する必要がある。また、ドローンの日常的なメンテナンスを担当する専門的な人員も配置しなければならない。ドローンの数に対して少なくとも数倍の人員を投じる必要があり、トータルの人件費は高くなる。

また、同じ現場内で複数のドローンに異なる作業をさせると、ドローン間で電波干渉が生じやすく、複数機の連携も困難なことがドローンの活用を難しくしている。

業界の現状を見ると、ドローンメーカーは活用シーンの研究開発に重点を置いており、ドローンの基盤となるアーキテクチャーや運航サービスに目を向けることはほとんどない。しかし今後、低空経済が急成長し、さまざまシーンでドローンの普及率が高まれば、運航サービスは新分野として勢いよく発展するだろう。

これを踏まえて安擎科技はドローンの目視外自律飛行向けに、システム化されたDAAを含む革新的な技術を打ち出し、初のドローン360度球面センシング技術を開発することで飛行中の障害物回避を可能にした。 全プロセスにわたって手動操作は不要で、クラウドプラットフォーム上でリアルタイムに監視できると同時に、必要に応じてシステムや人が操作に介入できるようにして、業界に存在する多くの問題を解決した。

(翻訳・大谷晶洋)

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