代理購入業界に激震、海外の中国人転売業者の今

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中国人の消費力を日本人も感じた爆買いが変わる。正確に言えば中国在住者に代わって行う転売(代理購入)が変わる。月に1度訪日し商品を買い出しにやってくるある転売業者によれば、今年は1度目は若干のプラスだったが、2度目3度目と繰り返すうちに、不安が増しているという。

昔は稼げた代理購入に異変

日本に限らず世界各国で転売業者(代理購入業者)がピンチだ。韓国の商品の転売を妹とふたりで行う小雪氏(仮名)は2014年から2018年が最もやり甲斐のある時期だったという。小雪氏は買い出しの前に注文を受け付けてから目的地に到着し、免税店の現場で撮影した後にさらにリアルタイムで注文を受けるというスタイルで受注に受注を重ねてきた。小雪氏によれば、景気が良かったときには出発前にスキンケアや美容製品だけでも100件以上の注文を受けていた。その結果、当時月に5万~6万元(約100万〜120万円)か場合によってはそれ以上を稼ぐことができ、姉妹は稼いだお金で家と車まで購入した。

しかし今では出発前にわずか数件の注文か、あるいは事前の注文がまったく来なくなったという。そこで、海外で注文を受けてから、顧客に向けて特定の商品の実物写真を撮り、その商品を見て初めて注文してもらうというサービスを対応している。小雪氏の転売によるこの数ヶ月の収入は1万元(約20万円)余りまでに下がり、妹はさらにひどく月に1000元(約2万円)余りしか稼げなくなった。2人の収入の平均は5000~6000元(約10万〜12万円)と、都市部でつつましく生きる程度の所得しかなくなった。

かつて4つ星5つ星ホテルに宿泊してた小雪姉妹だが、経費削減のためユースホステルのドミトリーへと変わった。小雪姉妹によれば、彼女らが滞在するユースホステルのドミトリーのほとんどが中国の転売業者だという。転売業者は日中に買い物に出かけ、夜はドミトリーの部屋で業者同士のお茶会をする。そこで小雪姉妹が聞いたのは、10業者中、5業者が赤字で、2業者が横ばい、黒字になったのは3業者のみという話だった。

韓国では多額の手数料を約束し転売業者を集める免税業者もいたが、2022年末に韓国の税関がこれを禁止した。1度の買い出し額が一定金額を超える場合、空港送迎サービスを無料で行ってくれる業者もある。しかし、こうした状況なので空港から送迎車が消えたという。

コロナ禍やライブコマースの出現で打撃

2016年よりオーストラリアの購入代理業者をはじめたJ氏も事業がうまくいかず諦めることになった。始めた当初は多くの問い合わせがあり順調だったが、コロナ騒ぎで大きく変わった。中国でゼロコロナ体制を維持しているとき、中国の外ではコロナが蔓延していて危険だと言われる風潮だった。J氏が購入していたのは粉ミルクや健康食品だったが、ゼロコロナ以降に中国人は国外のコロナウイルスを恐れて外国の小包を嫌がり、これまであったニーズがなくなってしまった。

コロナ禍に中国で(さらに)普及したサービスのひとつにライブコマースがある。これにより有力なライバーが多くを仕入れ、低価格で販売しはじめたことも転売業者が苦しむ要因となった。転売業者がそれより安く購入することはできたが、配送に時間がかかるので、商品購入後にすぐ届くライバーの競争相手にもならなかった。またこの数年でECサイトやリアルショップも多く、外国の日用品や食品を取り扱い出したことで、消費者にとって外国商品が身近になると同時に相場を知ることができるようになり、転売業者はより安く売らざるを得なくなり利幅が縮小した。

かくして多くの転売業者は消えた。流行に乗ってライバーになる人もいたが、一方でタフに生き残る転売業者もいる。例えば萱萱氏(仮名)は他の転売業者が不振となる中でいちはやくジュエリーやブランド品の転売に転向し生き残った。オーストラリアの商品の代理購入を行うJJ氏はアパレル商品や日用品を売り続けている。また日本のアニメ・ゲームグッズなどを専門で購入する業者もいる。

ブランド品を転売し続ける業者もいる。「ブランド品販売は本物を売るという信頼が大事で、ニセモノを販売した時点で信頼は失われる。海外在住は信頼面で強みがあり、特定の転売業者を信頼した客はずっとフォローし続けるので、長くやっていればフォロワーを数百人数千人と増やすことができる」と語る。

中国で「代購(代理購入)」の言葉が飛び交うようになった2015年の当時は、高い関税と越境貿易がずっと不便だった。だがスマートフォンでのネット生活が普及し、越境ECが増えて、サプライチェーンも構築された。ならば爆買いは2015年前後の中国人の経済力向上と外国の商品購入の不便さが重なった時に発生した事象と言えよう。その後EC環境が改善され、そして追い打ちをかけるようにコロナ禍で大きく変わった。しかし市場の需要は探せば依然として存在している。こうした中でも生き残ったプロの転売業者が今でも中国人のニーズに応え、海外で代理購入を行っている。

(作者:山谷剛史)

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