アリババも美団も進出を急ぐオンライン美容医療業界、新氧の生き残り戦略とは 

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今年5月、創立6年未満の「新氧科技(So-Young International)」(以下、「新氧」)(NASDAQ:SY)がナスダックに上場した。インターネット美容医療プラットフォームでは初の上場となる。8月29日公表の最新の財務データによると、今年第2四半期、新氧を通した美容医療契約金額は8億9290万元(約136億4400万円)に上り、対前年同期比で81.9%増となった。新氧の同四半期の売上は、87.3%増の2億8500万元(約43億5500万円)、純利益は同230%増の2930万元(約4億4800万円)。

2017年に新氧が黒字転換以来、10四半期連続で対前期比・対前年比売上高増となった。

美容医療はブルーオーシャン

美容医療市場は、千億元規模のブルーオーシャンだ。この大きなパイを、誰もが虎視眈々と狙っている。近年、特に今年に入ってから、アリババグループ、「京東(JD.com)」、「美団(MEITUAN DIANPING)」、「百度(バイドゥ)」、「蘇寧(Suning.com)」などの大手企業に加え、医療SNSサービスの丁香園(DXY.cn)などオンライン医療を専門とする企業も、美容医療への進出を急いでいる。

今後競合するプレーヤーは増えるとはいえ、新氧は美容医療市場では、まだ一人勝ちの状態だ。Frost & Sullivanの報告書によると、中国の美容医療アプリのなかで、新氧は84.1%のシェアがある。一部報道によれば、2019年6月の新氧のMAU(月間アクティブユーザー)は256万に上り、オンライン医療プラットフォームとして全国2位の規模だと伝えている。

確固たる業界トップに向けた、新氧の消費者への請求

競合他社の増加に対して、新氧は継続的かつ大規模な広告宣伝のほか、ECでの記念日イベントを新たに開始した。自社のプラットフォームを利用する企業と連動し、クーポンやノベルティなどを活用し、消費につなげようとしている。

美容医療という新興市場の初期開拓段階は過ぎ、多くの消費者が美容医療を受け入れ、消費するようになってきた。潤沢な資金を持つ新氧は、このタイミングに広告とオンラインキャンペーンを大幅に増やし、消費者のロイヤルティとブランドのペネトレーションを強化することで、中国のインターネット業界の持つ、勝者が圧倒的に優位になる「マタイ効果」に適応しようとしている。

また、美容医療は客単価が高く、ペネトレーションが低い業界だ。中国市場が爆発的に成長しているとはいえ、ペネトレーション率は5%前後しかない。新規プレーヤーが続々と参加し、且つ専門性が高い業界において、プレジション・マーケティングが大切となるが、「記念日創出」は重要な手段の一つであり、新氧の「66双眼皮節(二重まぶた祭り)」「99皮皮節(99肌祭り)」などはまさにそうだ。

大手ネット企業参入に対する、新氧の生き残り戦略とは

記念日キャンペーンが成功するかどうかに関わらず、オンライン美容医療をめぐる競争は本格的に始まった。

アリババ、京東、美団など、トラフィックに強みを持つ大手企業の参入により、当初のようにトラフィックだけで勝負することが難しくなった。どのように自身のリソースを再編し、総合的な専門サービスを提供するかが、勝負を決める鍵となる。

現段階の新氧は、美容医療業界をより丹念に掘り下げ、医療現場とのつながりを強めるほか、新たな成長分野を見つけようとしている。そこで新氧は「縦と横」の戦略を打ち出した。

縦とは、消費者、医師、医療機関、美容コンサルタント、用品メーカー、インフルエンサーなどすべてを含むエコシステムの構築だ。それにより効率を上げ、迅速に伸びるニーズに応えていく。横とは、サービスの種類の拡充だ。新氧の会長兼CEO・金星氏はサービス選定の3つの基準を上げている。1)生活水準向上のための必需でない医療行為。2)大量な情報をもとに慎重に判断しなければならないこと。3)客単価が高く、マーケットを形成できること。

2018年年末、新氧はすでに歯科医療サービスに乗り出しており、今後は皮膚科、眼科、産婦人科、ハイレベルな健診、医療ツーリズムなどにも進出する予定だ。
(翻訳:小六)

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