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スマートフォンの新製品が相次いで登場。サムスンの「Galaxy Note 10+ 5G」、ファーウェイの「Mate 30」らライバルを前に、アップルのiPhoneは今の地位を守れるのか。iPhone神話が揺らげば、アップル帝国が傾く恐れもある。だがiPhoneは新モデル11シリーズの発表前に、既にアップルの足を引っ張る存在にまで成ってしまっている。
iPhoneがつまずき、アップルは失速
昨年9月のiPhone XR/Xsシリーズ発表からアップルの失速は始まった。新モデルの発表を続けることで高成長を続けてきたアップルだったが、iPhone XR/Xsシリーズの登場に伴い、ユーザーのアップルに対する評価が「イノベーター」から「値上げの首謀者」へと変わった。アップルの売り上げ成長率は、2018年の第3四半期の20%をピークに急激に落ち込み、直近の成長率はマイナス5%となっている。
売り上げ低下の主な原因は、最新モデルの登場により旧モデルの価格が下がったことによるものだと推測される。ライバル機種と比べると、iPhoneXR/Xsシリーズのスペックは若干見劣りする。スペックの割に高価であったことがユーザーを遠ざけたのだ。XR/Xsシリーズの販売不振の理由をアップルも分かっており、このギャップをうめようと、大幅な値下げと旧モデルの下取りキャンペーン割引を展開した。すると、価格を下げることで、iPhoneは中国ECサイトで再びトップ5に返り咲いた。iPhone の魅力は失われていなかったのだ。
アップルが高価格にこだわった理由
スペックに対して販売価格が割高であることが販売不振を招いたにもかかわらず、アップルはなぜiPhoneの価格を高く設定することに固執するのか。
大きな理由の1つは、コストが膨らみiPhone事業の粗利率が下がっていることだ。歴代のiPhoneに比べると、Xシリーズ以降、液晶ディスプレイがコスト全体を押し上げている。しかし、下降線をたどってはいるものの、アップルの粗利率は競合他社と比べ未だ高い。これは、売り上げを伸ばすために、値下げの余地があることを示している。
価格を抑えるか、または定価を上げるか悩むところだ。しかし、iPhone 11の699ドル(約7万5000円)という価格設定からみると、アップルが選んだ戦略は価格を抑えて売り上げアップを目指すというもののようだ。この選択がアップルの収益に今後どう影響するか注視される。
アップルがiPhoneに頼らず生き抜くためには
アップルの事業は製品(ハード)とサービス(ソフト)の二つに大きく分けられる。iPhoneはアップルの基本ソフト「iOS」を取り巻くエコシステムの中核でもあり、iPhoneの売り上げが不調であれば事業リスクを抱えることになる。
そこでアップルが目を付けたのが、iPhoneが獲得した10億もの既存ユーザーを対象にしたサービス事業だ。米調査会社「Sensor Tower」によれば、アップルストアの売り上げ減少は、iOSエコシステムのユーザーが減少していることに関係しているという。既存ユーザーが将来のカギを握る。
今年3月、アップルは新サービスを相次いでリリースした。定額サービスのニュースアプリ「Apple News+」、ゲームアプリ「Apple Arcade」、動画ストリーミングサービス「Apple TV+」、そしてクレジットカード「Apple Card」の4大サービスで将来を切り開こうとしている。しかし海外メディアからは収益性を疑問視する声も上がっている。アップル関連情報サイト「MacRumors」によれば、Apple TV+のオリジナルコンテンツの調達にアップルは60億ドル(約6500億円)もの資金をつぎ込んだ。一方、2019年上半期のサービス事業の売上原価総額は83億ドル(約9000億円)程度だったという。莫大なコンテンツ調達コストは収益を脅かす存在だといえる。
iPhone事業についていえば、やはり次の5G対応モデル、iPhone12に期待した方が良いのかもしれない。
画像提供:Unsplash
(翻訳:貴美華)
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