シャオミが全固体電池の特許を公開。大幅な性能向上を実現、量産に向け弾み

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中国スマートフォン大手・小米集団(シャオミ)傘下でEV事業を手がける小米汽車(Xiaomi Auto)は6月17日、自社で進めている全固体電池の研究成果を特許という形で初めて公表した。公開されたのは2023年12月に出願された「全固体電池用複合電極とその製造法、およびその複合電極を含む全固体電池」に関する技術で、特許出願番号はCN202311707711.8、発明者は復旦大学高分子科学学部の趙則棟博士となっている。

シャオミの全固体電池に関する特許情報

最大の特徴は、電極内部の構造設計を工夫して金属イオンの移動距離を短縮し、イオン伝導速度を高めたことにより、電池性能を大幅に向上させた点にある。実験データによると、この全固体電池は200回の充放電サイクルに耐えることができ、比較対象とした従来製品の70回と比べると性能が3倍近く向上した。また、イオン伝導経路を最適化することで、電極容量や充放電レートにも著しい改善がみられた。充放電レート2Cでの容量維持率も75%と従来製品よりも45ポイント向上している。

シャオミの特許技術では、ほかの製造技術と互換性があり、量産にも適していることがアピールされている。特許情報では複合電極を大規模に製造するための方法として、以下の4つのステップが示されている。

1, 複合薄膜の作成:ガラス基板上に活性物質や導電剤、バインダーを含むペーストを塗布し、3Dプリント技術を使って細い溝をつけた薄膜を形成する。
2, 固体電解質の注入:ポリマーや金属塩を含むペーストを細い溝に流し込む。
3, 巻き取り:複合薄膜を溝に沿って巻き取り、円筒状に成形することで、細い溝を垂直方向の経路とする。
4, 切断と積層:円筒を横方向に切断し、そのパーツを集電体の上に重ねることで、複合電極が形成される。

この方法は複雑な製造装置や超高温処理が不要なため、大規模な商用生産に適している。

シャオミの特許技術にはポリマーと金属塩を使った複合電解質が用いられているが、これは車載電池世界最大手の寧徳時代(CATL)も採用している技術だ。

中国、全固体電池EVを2027年に実用化へ 「市場シェア1%達成には10年必要」

シャオミは全固体電池の特許技術で大きな成果を示した。とはいえ、全固体電池の商用化には依然として多くの壁が立ちはだかっている。技術的アプローチの選択、コスト管理、サプライチェーンの整備、さらには国際市場での競争といったさまざまな課題をひとつひとつ解決していく必要がある。

目下、CATLをはじめ、EV大手の比亜迪(BYD)やリチウム大手の贛鋒鋰業(Ganfeng Lithium)、車載電池大手の国軒高科(Gotion High-Tech)などの有力企業も全固体電池の開発を進めており、各社とも量産時期を2027年頃に設定している。

「EV向け全固体電池の普及は予想よりも早い、2〜3年で高級EVから搭載」BYD幹部が予測

作者:車東西、頤聖

(翻訳・畠中裕子)

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