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中国の行政サービスが「1回で手続き完了」「来所不要」「オンラインで手続き可能」などをうたうことが増えてきた。企業や市民など民間の利益や利便性の向上を図るため、行政のスリム化や権限委譲、サービスの最適化を進める「電子政府改革」が静かに進められている。中国政府が2016年に「インターネットと行政サービスの融合」を大々的に推し出したのがきっかけだ。
東方証券(ORIENT SECURITIES)の推算によると、中国における行政の電子化は2017年時点で2722億元(約4兆1000億円)規模の市場となっている。過去10年来、年12~17%の成長率で拡大してきたという。
同分野で10数年の実績を有する企業「大漢軟件(Hanweb Software)」は、行政機関と連携して行政サービスのスマート化を進めてきた。行政サービス関連データを民間につなげ、業務をオンライン化している。すでに17省で行政サービスプラットフォームの立ち上げを行っており、「国家政務服務平台(試験運営中)」「浙江省政務服務網」のサイト開設、「江蘇省政務服務網」のミニプログラムリリースなど複数のプロジェクトを完成させている。今年1月にはアリババグループ傘下の金融サービス企業「アント・フィナンシャル(螞蟻金服)」から戦略的出資も受けた。
同社の金震宇董事長によると、既存の行政サービスの多くはすでにIT化が進み、窓口での対応からオンラインでの対応に移っており、アプリ、ミニプログラム、SNS公式アカウントなどを一体化した運営管理への需要も高まっている。これに伴い、インターネットセキュリティや案件の並行処理、ビッグデータ分析など技術面でも多くの課題が生じてきている。顔認識、自然言語処理などAI関連の技術も活用されれば、行政サービスのオンライン化はさらなる発展を遂げていくだろう。
「オンライン行政」の意味付けも年々変化してきている。従来は政策の広報窓口的な位置付けが主だったが、近年では「電子政府」としての位置付けに変わりつつあり、これまで役所窓口で対応してきた業務などをオンライン・オフラインの一体化プラットフォームで対応するようになってきた。
大漢軟件の強みは、これまで国務院や多くの自治体とのプロジェクトで積み上げてきた実績だと金董事長は考える。市場競争も健全化しており、一社による独占もない。これは事業そのものの複雑さに起因する。事業に投入される技術、関連する端末の種類、管理するデータや業務内容のいずれもが多岐にわたり、技術面でも業務面でも幅広い開発力が問われるのだ。さらに、中央政府から各省庁、各地方自治体から各部門への業務提携、引継ぎおよび改善においても、業務は広範囲かつ深い領域に及んでいる。電子政府事業に携わる各企業はそれぞれの専門領域を持ち、互いに賢く住み分けている状況だ。
大漢軟件に出資を行ったアント・フィナンシャルおよびその母体のアリババグループは、クラウドコンピューティングやモバイルアプリ、AI、ビッグデータ、ネットセキュリティといった多くの技術面で同社を支援するとともに、共同開発も進めていく。今後は製品ラインナップも拡充し、全国でマーケティング網を構築していくと同時に、ローカル化を推進する技術チームも組織し、より市民に寄り添ったサービスの提供を目指していくという。
(翻訳・愛玉)
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