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中国大手スマートフォンメーカーOPPOは大胆不敵にも、米アップルの「iPhone 11」発表と同日に、新型スマホ「Reno 2」国内版を上海で発表した。
インド市場ではこれより前にReno 2をすでに発表しており、同機種はOPPOが海外市場で発売した初のミドルレンジモデルのフラッグシップとなった。今回の国内での発表会にも多数の外国メディアが参加していた。
同社は先月、組織構造に関する大々的な調整を行った。国内部門と海外部門を一つのグローバル市場部門に合併したうえで、国内責任者の沈義人氏をグローバルセールス、海外責任者の呉強氏をグローバルマーケティングの責任者に据えた。この動きにもグローバルブランドを目指すOPPOの野望が見え隠れする。
OPPOはこれまで、各市場ごとに異なる製品ラインナップを揃えてきた。インドで発売するFシリーズは、実際は国内のRシリーズに相当する機種であり、今回のRenoは世界共通のシリーズということになる。
Renoという世界統一モデルの導入により、ブランディングに精力を注ぎやすくなる一方で、各市場に応じてどのように製品を定義づけていくかという問題も発生する。呉氏は「戦略はグローバルなものだが、アプリは現地にマッチしたものを採用する」と述べている。
Reno2の場合、ハードウェアに関してはインド版と国内版に大差がない。ソフトウェアに関しては、海外版、国内版ともにカメラ使用時の「ウルトラダークモード」と動画手ぶれ防止機能「ウルトラステディー」を搭載し、改善を図った。ただしインドでは下位機種となるReno2ZとReno 2Fも発売している。
Renoのポジショニングに関し、OPPOが明確な答えを出しきれていないことは明らかだ。中国国内で発売されたReno初代機種の最低価格は高く、主力機種には10倍ズーム機能を搭載し、価格は約4000元(約6万円)でファーウェイのP30に対抗していた。このため当時はOPPOもファーウェイ同様、ハイエンドモデルのフラッグシップを2機種展開する路線に変更したものと考えられた。
しかし今回発表されたReno 2の8Gメモリ+128Gストレージ版の販売価格は2999元(約4万5000円)で、Pro版も発売されなかった。この価格のスマートフォンは、国内では明らかにミドルレンジモデルに区分される。
中国のミドルレンジモデル市場はすでに飽和状態で、スペックの水準も全体的に上がってきている。1000元(約15000円)台の機種ですら、6400万画素の4眼カメラが搭載されているため、インドではハイエンドと呼べる機種でも、国内では平凡に映ってしまう。Renoが迎え撃つ国内市場はインドよりはるかに過酷といえる。
ミドルレンジモデル市場はかつてvivoとOPPOの独壇場だった。OPPOの主力製品Rシリーズの価格は2500~3500元(約3万8000円~約5万3000円)で、新モデルが1年に1回のペースで発表されるヒット機種となっていた。R9のピーク時の販売台数は2000万台を突破したほどだ。
だが、今ではファーウェイやそのサブブランドhonorに加え、シャオミまでもが同価格帯のラインナップをがっちりと押さえており、当時のvivoとOPPOの独占はすでに過去の話となった。特にファーウェイのnovaシリーズは、登場時からvivoおよびOPPOの機種に真っ向勝負を挑んできた。アイドルの起用、テレビでのバラエティ冠番組および実店舗の販売チャネルを併用する両社のプロモーション手法さえ踏襲する徹底ぶりだ。現時点では、Renoは販売台数では他社に対抗できないものの、沈氏によれば10月にはRenoの新シリーズ「Ace」がリリースされるという。
各社にとって間違いなく苦しい競争が繰り広げられる中、OPPOは必然的にブランドのポジショニングとマーケティング路線を自ら変更せざるを得なかった。Renoに今後の戦略の担い手となることを求めたのは自然の流れだったのだろう。
人気のRシリーズを中止し、Renoで一から勝負するOPPOは少なからぬリスクを負ったことになる。路線変更に伴う生みの苦しみからは逃れられないだろう。「ブランドの転換とアップグレードのためには、目の前のものを捨てる必要がある」と呉氏は語った。
創業から10年が経過したOPPOは、再び重要な転換点を迎えている。今後、5G時代が到来するまでにRenoに爆発的人気モデルが誕生するかが、5G対応機種への買い替え需要をつかむ上での命運を握っている。
(翻訳・神部明果)
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