勢い止まらぬ中国発格安EC「Temu」、物流コスト削減へ船会社と提携

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中国EC(電子商取引)大手・拼多多(Pinduoduo)が運営する越境ECプラットフォーム「Temu」はこのほど、米マトソン(Matson)、イスラエルのZIM、仏CMA CGM、デンマークのマースク(Maersk)、中国のチャイナ・コスコ・シッピング(中国遠洋海運)などの船舶会社と提携し、貨物を海上高速輸送で運び、物流コストを低減する取り組みを開始した。

Temuは2022年9月に米国でサービスを開始し、破壊的な低価格戦略や膨大な資金を投じたマーケティングにより、わずか1年余りで日本を含む47カ国に進出している。ウェブサイト分析のSimilarwebが今年9月に発表した米国で人気のモバイルアプリトップ40で、TemuはFacebookに次ぐ8位にランクインし、米国でのMAU(月間アクティブユーザー数)は、iOS版とAndroid版を併せて1億2900万人に達した。アジアでは先進国の韓国と日本に進出し、ショッピングアプリダウンロード数ランキングで首位に立った。

わずか1年間で47カ国に拡大 中国発の格安越境EC「Temu」、GMV150億ドルの年間目標達成へ

現時点で、Temuの物流は(1)中国各地のサプライヤーから中国国内の倉庫への商品の輸送、(2)J&Tエクスプレス(極兎速逓)や雲途物流(YunExpress)などの物流サービス業者を介した海外への空輸(幹線輸送)、(3)UPSやDHLなど海外の物流サービス業者を介したエンドユーザーへの配送(末端配送)の3つの段階に分かれている。

国内の倉庫への配送では、ますます増加する貨物量を背景にTemuが圧倒的な交渉主導権を握り、物流業者の価格を極限まで引き下げているため、さらなるコストダウンの余地はほとんどない。

末端配送については、UPSやDHLのような大手が発言権を持っており、貨物量を背景に価格を引き下げるのは可能だが、極限まで圧縮するのはなかなか難しい。

そう考えると、コスト削減の余地があるのは、幹線輸送だけだ。

Temuの幹線輸送は現在空輸が中心で、同業プラットフォームや一部の大企業も空輸を採用している。特に付加価値が高くコンパクトな電子機器やアクセサリーなどは大部分が空輸で運ばれるが、インテリアや家具など大型商品には適さない。空輸は船便より費用がかかり、たとえば深圳市から米国西部に空輸する場合、輸送費は船便の7~8倍になる。そのため、Temuは海上輸送に力を入れ、物流コストを下げようとしている。

米投資顧問会社サンフォード・C・バーンスタインは、Temuの23年の営業損失が36億5000万ドル(約5460億円)に上ると予測している。この営業損失の大部分はマーケティング費用と物流費だが、多額の資金を投入するプロモーションはやめることはできないので、当然ながら費用削減のターゲットは物流になる。

海上輸送を強化することで、物流コストの大幅な削減が見込める。

Temuは海上輸送で物流コストを浮かした分を、引き続きトラフィック獲得のための広告費や、徹底した低価格を実現するための割引に充てていく。

これは親会社・拼多多の姿勢と一致する。Temuが22年9月に米国で事業を開始した当初、拼多多の財務担当副総裁・劉珺氏が、Temuは財務指標に左右されないと述べている。つまり、資金は十分に確保されており、引き続き多額の資金を投入するということだ。

サンフォード・C・バーンスタインの予測では、Temuは25年までは赤字が続くが、25年の損失額は19億ドル(約2850億円)前後に縮小する見込みだという。

【特集】中国発越境EC「SHEIN」「Temu」が日本の若い女性に刺さる理由

作者:藍海億観網(WeChat公式ID:egainnews).

*23年11月17日のレート(1ドル=約150円)で計算しています。

(翻訳:浅田雅美)

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