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中国最大のショッピングイベント「ダブルイレブン(独身の日)」セールが幕を下ろした。今年のダブルイレブンがこれまでと違ったのは、自動配送ロボットが活躍したことだ。蘇州市在住の鄭さんは予約していた商品の代金を払い終わった12分後に、住宅地内で商品を受け取った。この荷物を届けたのは宅配大手「申通快逓(STO)」の自動配送ロボット。担当者は「ダブルイレブンの配達に十年余り携わってきた中で最速」と話す。
これほど早く配達できたのは、申通快逓が今年「前売り超速配」サービスを一層強化したからだ。顧客が前払いした商品を事前に倉庫に送って輸送時間を節約したことに加え、配送ルートを細かく決めて、配送ロボットが最も効率よく回れるようにした。
自動配送ロボットを開発する「九識智能(ZELOS)」創業者の孔旗氏は「宅配業界で自動配送ロボットの活用シナリオは大きく分けて2つある。一つ目は営業所と配達先の往復で、時間節約につながっている。もう一つは農村や地方での配送で、こうした地域は賃金水準が低い、あるいは荷物の数が少なかったり安定していなかったりするため、配達員を探すのが難しい。配送ロボットはコストを下げ、配達効率を上げる選択肢になる」と話す。九識智能は蘇州にあり、自動運転レベル4の都市部向け配送ロボット技術を開発する。申通快逓が今回使用した自動配送ロボットの一部は、九識智能が開発したZ5シリーズだ。
ダブルイレブンで自動配送ロボットを使用したのは申通快逓が初めてではない。アリババグループ傘下の物流サービス「菜鳥網絡(Cainiao Network)」、中国ネット通販大手・京東集団(JDドットコム)傘下の物流会社「京東物流(JD Logistics)」も近年のセールで配送ロボットを使用している。
例えば、中国の多くの大学ではいたるところで菜鳥の自動配送ロボット「小蛮驢 (XiaoManLu)」を見かける。これはアリババの研究機構「達摩院(DAMO Academy)」が開発したレベル4の自動運転ロボットで、主にキャンパス内の「予約配達サービス」に利用されている。
小蛮驢は2020年に登場してから地域のサービス拠点「菜鳥ステーション(菜鳥驛站)」と連携し、全国400校余りの大学で自動配送している。22年11月11日のダブルイレブン当日には合計200万個近くを配達し、23年3月時点で取り扱った注文は累計2900万件を超えた。
国家郵政局のデータによると、2023年11月1~11日に全国の郵便局や宅配企業が取り扱った荷物は52億6400万個で前年同期比23.22%増、1日の業務量は普段の1.4倍になった。11月11日の荷物は6億3900万個で同15.76%増、普段の業務量の1.87倍に上った。
ダブルイレブンセールは通常12日未明に終了するが、物流現場ではさらに長く続く。モバイルインターネット時代にあって、ネットで買い物をするユーザーは数も割合も増加し、早く商品を受け取りたいというユーザーの声はますます大きくなっている。業務量は大幅に増加し、物流企業には大きなプレッシャーがかかっている。しかし、これまでと異なるのは物流企業が自動運転技術を活用してピーク時でも安定して配達できている点だ。
例えば菜鳥ではECプラットフォームから配達注文が入ると、菜鳥の物流ネットワークが荷物を振り分け、菜鳥ステーションに到着してからは自動配送ロボットと配達員でラスト3キロの配達を行う。これにより、物流プロセスの中で最もコストが高く効率が最も低かった末端物流の問題を解決した。
孔氏は、2023年が一つの分水嶺だと語る。以前の宅配企業は自動配送ロボットをレンタルしていたが、配送ロボットの便利さと価値を認識してからは直接購入するようになったという。購入する方がレンタルするよりもコストが低いからだ。今年に入ってから市場拡大のスピードが明らかに加速しており、自動配送ロボットがビジネスとして成功し始めたことを物語っている。
作者:出行一客(WeChat公式ID:carcaijing)、劉婧汐
編集:王静儀
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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