資金難にあえぐ電気自動車業界 深刻な不振の原因とは?

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資金難にあえぐ電気自動車業界 深刻な不振の原因とは?

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2018年下半期、中国IT御三家の「BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)」が熱い視線を送る新興EVメーカー「蔚来汽車(NIO)」、「小鵬汽車(XPENG Motors)」、「威馬汽車(WM Motor)」はいずれも量産および納車を実現した。翌2019年、資本市場で最ももてはやされたのが、スマート電気自動車(EV)の開発・生産を手掛ける「理想智造(LEADING IDEAL)」だ。同社はシリーズCで5億3000万ドル(約570億円)を調達し、評価額は29億3000万ドル(約3200億円)に達しており、米国株式市場に上場した蔚来汽車に迫る勢いだ。

しかし、現状を見ると、電気自動車のスタートアップの販売台数は惨憺たるものだ。乗用車市場情報連合会(CPCA)のデータによると、蔚来汽車の上半期の販売台数は7481台で、今年度10万台の納車を目標にしている威馬汽車はわずか8747台、小鵬汽車は年間4万台の販売目標を掲げているが、上半期に売れたのはわずか9596台だった。

この結果を受けて、業界では電気自動車の発展性に陰りが生じているのかと問う声が上がっている。

高価な動力システムが収益の足かせに

自動車に必要なのは安全で効率に優れた走行機能であり、これによって社会的生産力を保証し、それが持つ価値が失われないようにしなければならない。中国の自動車メーカー「吉利汽車(GEELY)」董事長の李書福氏は「自動運転の中核はAIだが、本質は自動車だ」と語った。

充電効率の悪さや航続距離の限界は電気自動車の二大弱点であり、純電気自動車の販売台数が補助金政策などに依存する状態を招いている。ひとたび補助金が打ち切られると、電気自動車企業の市場圧力は顕著に増大することだろう。テスラは北米市場で販売台数20万台に達した段階で税金減免の優遇を打ち切られ、売り上げが鈍ったために相次いで値下げせざるを得なくなった。

また、走行性能の限界に対応するべく、自動車メーカーは充電設備を設けるために多くの資金を投入している。蔚来汽車の秦力洪総裁によると、同社はエネルギー事業にすでに15~16億元(約230億~240億円)を投じているが、最近は資金が逼迫しているため、外部の資本機関から資金を調達しているという。

中国の電気自動車大手「比亜迪汽車(BYD)」も帳簿上は黒字だが、補助金への依存度が高く、キャッシュフローは常にマイナスであり、継続的な資金調達を必要としている。同社の今年上半期の報告書によると、上半期の資金調達で得られた純現金収入は126億7000万元(約1900億円)で、前年同期比17.34%増だったが、同社が資金調達のために費やした金融機関関連の手続費を含む財務費用(日本の営業外費用にほぼ相当)は14億5000万元(約220億円)であり、同社の利益に相当する額だ。

電気自動車の動力システムが車両全体のコストに占める比率は約50%で、例えば電気自動車に搭載する光電池が70キロワット時の容量で約7万元(約100万円)とすると、車両の部品コストは15万元(約230万円)になるが、同価格帯のガソリン車の部品コストはそのほぼ半値だ。電気自動車は収益面でうま味が少ない。

販売不振にあえぐ電気自動車メーカーは、量産・納車体制に入ったばかりの段階、または企業として力を発揮する前に資金面での支援を失いつつある。「もはや公的金融機関は電気自動車事業に資金を投じたいとは思わないだろう。これまで資金を投じてきたのは国有資本をバックに持つ産業ファンドや地方自治体だ」。過去に同業界に関わっていた投資家はこのように語り、「電気自動車に対して誰もが買い被りすぎている。上場しなければ、有望な資金調達経路を見つけるのは難しいだろう」とした。

近ごろ、蔚来汽車は資金難に陥り、従業員を1000人リストラしたが、その後さらに1200人が追加削減された。新興電気自動車メーカーの「拜騰汽車(BYTON)」も資金繰りの問題が露呈し、サプライヤーへの支払いを滞納した。

電気自動車業界では、各社ともに資金の確保に必死になっているが、業界の共通認識として、現存する100社以上の電気自動車企業のうち、最終的に生き残れるのはわずか3社ほどだという。

独自動車部品大手ボッシュの中国エリア総裁を務める陳玉東氏は、「電気自動車の未来に期待しているとはいえ、関連技術の普及自体がまだ道半ばであり、政策による保護や優遇に依存する体質から脱却しなければならない」とし、「市場が発言権を持つようになれば、市場化が進む中で支持を得られることだろう」と語った。
(翻訳・虎野)

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