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トラフィック分析プラットフォームのSimilarwebによると、中国格安EC大手「拼多多(Pinduoduo)」の越境ECプラットフォーム「Temu」は、11月下旬のセールイベント「ブラックフライデー」のアクセス数が前年同期比で74倍増加した。一方、米アマゾンのアクセス数は同1%減少した。
テック系メディアのTechReportによると、今年9月時点で、Temuの米国での月間アクティブユーザー数(MAU)は1年前の460万人から8240万人に増えた。これがアマゾンにとってプレッシャーになったのかもしれない。
Temuや「SHEIN」など中国発の新興ECが展開する価格競争の包囲網を突破するため、アマゾンは大胆な方針を打ち出した。ファッションカテゴリーの販売手数料を大幅に下げることで、出品者に商品価格を下げる余地を与え、トラフィックの牙城を守ろうとしている。
販売手数料引き下げの背景
米アマゾンは6日、来年1月15日から、ファッションカテゴリーに属する価格が15ドル(約2200円)未満の商品の販売手数料を17%から5%に、15~20ドル(約2200~2900円)の商品の販売手数料を17%から10%に引き下げると発表した。
ファッションカテゴリーは購買頻度が高く、一般的なECプラットフォームが主力とする商品だ。超低価格でさまざまなデザインの商品を扱うSHEINは米国で多くのユーザーの心をつかみ、膨大なSKU(最小管理単位)によってユーザーを引き留めている。X(旧Twitter)やYouTubeでは「SHEINにハマる(addicted to Shein)」というキーワードも登場した。
Temuは現在、SHEINの神話を再現し、ファッションカテゴリーに重心を置きながら超低価格と豊富なSKUでユーザーをつなぎとめ、独自の巨大なトラフィックを構築している。ある調査機関によると、Temuで最も売り上げが多いのはファッション衣類だという。
こうした中でアマゾンは、ファッションカテゴリーの儲けを減らしてでもトラフィックの牙城を守ろうと、一歩を踏み出した。
アマゾンは思うほど負けてはいない
多くの人はTemuの低価格路線がアマゾンを着々と追い詰め、アプリのダウンロード数でアマゾンを大きく引き離したという印象を持っている。しかし、実際はどうだろうか。
まず、アマゾンのサービスはTemuなどが簡単に追いつけないレベルにある。アマゾンは十数年をかけて「フルフィルメント by Amazon(FBA)」の物流拠点と配送システムを構築し、配送スピードとアフターサービスを向上させてきた。
コンサルティング会社GWSの調査によると、Temuの配送に対する消費者の満足度はわずか30%で、アマゾンの52%よりずっと低い。また、Temuは返金などのアフターサービスに対する満足度も19%で、アマゾンの32%に及ばない。
これが非常に大きな差を生み、アマゾンはコンバージョン率でもTemuを上回っている。Similarwebのデータによると、Temuのコンバージョン率はわずか4.5%で、Amazonの56%を大きく下回る。つまり、Temuのトラフィックは急速に増えて大きくなったが、多くの消費者はまだ様子を見ているだけで、簡単には注文していない状態だと言える。
また、アマゾンには顧客単価がTemuよりもはるかに高いという大きな強みがある。テック系メディアWIREDのデータによると、Temuの平均注文単価は25ドル(約3700円)にとどまる一方、アマゾンは47ドル(約6900円)に上る。
これはTemuの低価格路線にも起因しているが、消費者が長年抱いてきたアマゾンに対するイメージ、つまり「安心感があるからアマゾンで高額商品を買う」という心理も関係している。
アマゾンは今も配送の早さとアフターサービスの安心感において高い競争力を維持している。Temuが追いつくには大規模な倉庫・配送拠点の構築に加え、イメージの確立という2つの大きなハードルを超えなければならない。
作者:藍海億観網(WeChat公式ID:egainnews)
*2023年12月12日のレート(1ドル=約146円)で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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