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自動運転業界では、レベル3~4(L3~4)技術を手がけるスタートアップの多くが、商業化を実現する前段階で淘汰されはじめている。生き残る企業はそれぞれ独自の実用化シナリオを描くことで存続を図っている。
そのうちの1社「AutoX(裹動智駕)」は2016年に設立され、創業者兼CEOの肖健雄氏を筆頭に、米カリフォルニア州で創業チームが立ち上げられた。主にL4の自動運転ソリューションを手がけ、中国国内では深圳・上海・北京・常州にR&Dセンターや生産拠点を設けている。
肖CEOは米マサチューセッツ工科大学で博士号を取得後、米プリンストン大学でコンピュータービジョンやロボット関連のラボラトリーを創設した人物だ。同氏がAutoXで掲げる理念は「自動運転を一般市民に普及させる」ことだという。
AutoXが大規模な実用化に移した初の事業は「グローサリー配達サービス(ロボデリバリー)」だ。昨年8月からカリフォルニア州で限定的に試験運営しているサービスで、地元グローサリーと提携して顧客に食品を配達するとともに、無人の移動式商店を営業している。安全面を考慮して実際にはスタッフが同乗しているため「完全無人車」ではないが、将来的に関連政策や技術が整えば、それも実現するだろう。
今年 6 月からはカリフォルニア州関連当局の許可が下り、同州初の「ロボタクシー」の試験営業もはじまった。
AutoXは米国以外でも新事業を展開している。スウェーデンの電気自動車メーカー「NEVS」との提携で立ち上がったロボタクシーの欧州プロジェクトもその一つだ。NEVSの次世代車種にAutoXの自動運転技術を導入し、2020年末までに大規模な試験営業を開始する予定だ。
AutoXは技術に特化した企業であるため、これまで3年をかけてL4向け自動運転AIプラットフォーム「xUrban」の開発に注力してきたという。これが同社の成長と商用化の核であり、多様なシーンに応用できる汎用プラットフォームを目指している。
今年8月末、上海市嘉定区はAutoXと戦略的提携関係を結んだと発表した。同区内に無人運転のモデル地区を設け、今年末から来年初めにかけて100台の自動運転タクシーによる試験営業を開始するという。
36Kr編集部は肖CEOにAutoXの事業方針やL4の商用化、5G導入後の展望などについて聞いた。
――「AutoX」の中核を成す技術やビジョンは何ですか。
肖CEO 「自動運転を一般市民に普及させるのが狙いだ。そのため、創業当初からAIを導入したL4向け自動運転プラットフォーム「xUrban」の実現に向けて努力してきた。このプラットフォームは、車載用GMSL(ギガビットマルチメディアシリアルリンク)カメラおよびレーザーレーダー、さらに工業用メインコンピューターを採用している。深層学習技術を通じてこれらとセンサーシステムをかけ合わせて物体認識(何が、どこにあるのか)を行う」
――開発とサービス供給の双方を手がける企業として、どのような企業や組織と取引をしていますか。
肖CEO 「全製品が企業向けを想定している。主要な取引先は自動車メーカーだ。すでに東風汽車(DONGFENG MOTOR)と提携し、初のプロジェクトとして物流車両を手がけており、数カ月以内に量産段階に入る予定だ。また、BYD(比亜迪)との協業も意義深い。BYDの『Qin Pro』はドライブバイワイヤ(DBW)の標準化に長けているからだ」
「自動車メーカー以外の取引先はタクシー会社だ。これはロボタクシー事業の準備段階となる。タクシー会社からは車両やプラットフォーム以外に、大量の営業データを提供してもらえる。大規模な自動運転事業の運営を効率化していくのに役立つだろう」
――L4に求められる技術はそれ以外のレベルとは異なるのでしょうか。
肖CEO 「L5に関しては、実現にはまだほど遠い。現時点では主にL2~3が商用化に漕ぎつけている。L2は市場に流通する多くの車種に搭載されており、米テスラの半自動運転機能『オートパイロット』がその代表格だ」
「現在のL2~3は主に一般ドライバーを対象とした技術で、自動車メーカーにとっては一般車に搭載する新機能の一つという位置づけだ。販促のための一要素とも言える。L4となると、ハード面で一気にコストが跳ね上がる。これを販売価格に乗せても一般消費者は振り向かない。つまり、L4は主に企業向けの技術になる」
「L4の目指すところは極力『ドライバー不要』を実現することだ。この面からみると、我々はソリューション提供者として完成車メーカーやタクシー会社に『運搬力』を提供することになる。L4以下の自動運転技術が主に運転の快適性向上を目的にしているのとは異なる」
――次世代通信規格5Gが自動運転に与える影響とは何ですか。
肖CEO 「データ通信がより強化される。我々の最新の路車連携システムも5Gを取り入れているが、事故多発地点にこれを導入すると、車両は3Dセンサーで周辺状況を俯瞰し、同時に200メートル以上先の情報も取得できるようになる。また、各車両のカメラやレーダーが取得した情報をより多く収集でき、これを元に運営側は各車両の走行状況を遠隔モニタリングできるようになる。政府にとっても運営企業にとっても、データを用いて安全を確保することは運営規模の拡大に欠かせないポイントだ」
(翻訳・愛玉)
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