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インターネット大手バイトダンスの法人向けサービス「BytePlus(バイトプラス)」は2024年、日本の法人市場の開拓において、電子商取引(EC)を始め幅広い業界で消費者が欲しがる商材やコンテンツを最適なタイミングで勧める「レコメンド」技術の提供を前面に打ち出す方針だ。BytePlus事業の日本営業責任者を務める遠藤進氏が明らかにした。日本市場では同社グループの主力製品で培ったレコメンド技術の需要が強いと判断し、24年は「レコメンドならBytePlus」というブランドイメージの確立を目指す。
遠藤氏のインタビューは以下の通り。
BytePlus事業の概要と日本進出の経緯を教えてください。
「世界で数十億のユーザー規模を抱えるグループ会社の製品群の運営で培ったネット技術をサービスとして外部に提供し、収益を得るビジネスモデルだ。私が責任者を務める日本のBytePlus事業の営業活動もシンガポール法人の指揮下で行ってきた」
「実はBytePlusは21年の時点で日本市場に進出済みだった。当初の2年間の営業活動では、法人向けのネットサービス全般で一定の受注を獲得できたが、一方で日本の顧客からは特にレコメンド関連の引き合いが強いことに気が付いた。そこで、日本のBytePlus事業は23年初めからレコメンド関連に集中することを決めた。24年はその取り組みを拡大し、『レコメンドならBytePlus』というブランドイメージを確立したい」
BytePlusが提供するレコメンド技術にはどんな特徴がありますか。
「三つの特徴がある。一つ目はリアルタイムのレコメンド機能を提供できる点だ。ショートムービープラットフォームの場合、秒単位でユーザーの目を引かなければならず、今のネットサービスでは即時に情報提供できるレコメンド機能でなければ役に立たない。BytePlusはその強力なレコメンドエンジンを顧客企業にサービスとして提供する。たとえば、消費者が顧客企業のECサイトに何らかのアクションを行えば、リアルタイムで推奨する商材や、逆に推奨しない商材を特定することができる」
「二つ目に、新規登場のアイテムで行動履歴が蓄積していない『コールドスタート』が得意な点だ。シンプルに説明してみると、BytePlusのレコメンド技術はスワイプの速さ、『いいね!』ボタンの押され方などのデータを15秒で1万人分も分析し、その分析結果を活かすことで、広範囲のユーザーに推奨する商材やコンテンツを選ぶことができる。コールドスタートはこの1万人の情報がない状態だが、BytePlusは蓄積した経験に基づき、クリエーターの属性、コンテンツの長さ・ジャンルなどに適した1万人を選び出し、コンテンツの行動履歴を蓄積するのに相応しい対象から初期の分析を行うことで、初めからかなり適格なユーザーに的確な商材を推奨することができる」
「三つ目はカスタマイズが容易な点だ。前述した通り、BytePlusは顧客企業が属する業界に適したレコメンド機能を提供することが可能だ。顧客が自社で構築・運営しているECサイトなどのオウンドメディアのコンバージョン率(CVR)を上げることができる」
レコメンド関連では、日本市場でこれまでにどんな実績を挙げることができましたか。
「求人情報サイトはBytePlusのレコメンド技術を活用しやすい。アルバイト求人大手の『バイトル』は当社のレコメンド技術を導入したことで、求人ページのCVRが最大で2倍に増加したという。現在は複数の日本トップの求人サービス企業と商談を進めている段階だ。また、アパレル系ECサイトや小説・漫画などのコンテンツ提供サイトを運営する顧客からも、回遊率の向上で高い成約効率を得られるという納得の声をもらっている。日本市場におけるレコメンド関連の顧客企業の絶対数は公表できないが、23年初めからの1年弱で約5割増やすことができた」
BytePlusのブランドイメージを確立するため、24年はどのような取り組みを行いますか。
「主に三つある。一つ目は日本人の営業担当者の現地採用を拡大することだ。日本の顧客に安心して発注してもらうためには、やはり日本人の担当者を置くことが望ましい。二つ目はブランド認知度を上げるためのイベントなどに積極的に参加・開催することだ。23年は10月開催のマーケティングの国際カンファレンス『アドテック東京2023』に参加したり、自社のプライベートセミナーを開いたりしたが、このような活動も続けたい。三つ目は販売チャネルを拡大することだ。具体的には、BytePlusのレコメンド技術を日本市場で販売してくれるパートナー(代理店)を増やしていきたい」
(取材:36Kr Japan編集部)
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