ファーウェイが世界最速のAIトレーニングクラスター「Atlas 900」を発表 AIコンピューティングへの野心を見せる

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ファーウェイによる最大規模のICT業界向け年次イベント「HUAWEI CONNECT 2019」の会場では、こう書かれた2つの巨大パネルが目を引いた。「AI最盛期がまもなく到来」「鯤鵬(Kunpeng)は翼を広げ、未来へと羽ばたく」

今年で4回目となる同イベントでは、毎年ファーウェイの新たな取り組みや方針が発表される。2016年にクラウドコンピューティング戦略を打ち出し、2017年にはクラウドビジネスユニット(Cloud BU)を新設、パブリッククラウド事業へ長期投資の意向を示した。パブリッククラウドサービス「HUAWEI CLOUD」はファーウェイのスマートIoTの基盤を築いた。2018年にAI戦略を発表、AI向けチップ「Ascend(昇騰)」910と310をリリースしている。

今年のテーマは、既にリリースされた「Kunpeng(鯤鵬)」、Ascendなどのサーバー向けチップを取り巻くエコシステムの構築とAIコンピューティングの強化だ。

ファーウェイは世界の技術開発者や企業との「連携」を重要視している。2年前、ファーウェイ全体のビジョンとして最重要キーワードと定義した。

米調査会社ガートナーによれば、コンピューティング市場の規模は2023年までに2兆ドル(約214兆円)を超える巨大市場となる見通し。

この2点からファーウェイは、以下4つのコンピューティング戦略における方針を発表した。

アーキテクチャ・イノベーション。既に発表している「Da Vinci AIアーキテクチャ」は、16×16×N構成のスケーラブルな演算ユニットCubeを採用。ムーアの法則が崩れた今、新たなプロセッサアーキテクチャへの取り組みが急務となっており、「デバイス・エッジ・クラウド」の様々なシーンに対応するAIアーキテクチャに需要がある。現状では同社のDa Vinciがこれらに同時対応可能な業界唯一のアーキテクチャとなっている。

プロセッサへの投資。同社はすでにスマートデバイス向け「Kirin(麒麟)」、AI向けAscend、汎用コンピューティング向けKunpeng、スマートスクリーン向け「Honghu(鴻鵠)」などのチップシリーズ製品を取り揃えている。

事業戦略として、ファーウェイがこれらのプロセッサを直接外販することはないという。クラウドサービスやコンポーネントの形で提供していく。

オープンエコシステムの構築。ファーウェイ自身はアプリケーション開発に携わらず、AIコンピューティングの技術開発者支援に資金を投下する。同社は現在130万人の外部開発者と連携している。オープンなエコシステムを構築するために、ファーウェイ副会長兼輪番会長の胡厚崑(ケン・フー)氏は今回のイベントで、15億ドル(約1600億円)を投じる開発者支援プログラム2.0を発表した。連携する外部の開発者を500万人に増やす目標を掲げる。

今後は統計モデルをベースとしたAIコンピューティングが主流となり全体の80%を占め、スマートコンピューティング時代へ突入するとファーウェイはみている。

また今回のイベントでは、数千ものAscendプロセッサで構成する世界最速のAIトレーニングクラスター「Atlas 900」が発表された。同社のAtlas 900は、画像分類ResNet-50 v1.5のトレーニングを59.8秒で完了し、これまでと比べ時間を10秒以上、14%短縮し第2位に大きく差をつけた。

その他の例では、大型電波望遠鏡「SKA」からみた天体の星20万個の画像から、ある特徴をもった星を探し当てる作業を比較した。天文学者で169日間かかったところを、Atlas 900はわずか10秒で特定したという。

現在、Atlas 900はHUAWEI CLOUD上で、世界中の研究・教育機関に開放されている。

ファーウェイは通信設備メーカーとして誕生。その後モバイル市場に参入、出荷量において中国第1位、世界2位の端末メーカーへと成長した。今回AIコンピューティング市場への戦略を発表し野心をあらわにした。米エヌビディアやグーグルと同じ土俵で競うことになるが、その結果もまた期待できるだろうか。
(翻訳:貴美華)

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