中国化粧品市場で国産勢が躍進、23年の売上高は初の海外ブランド超え 日韓は急失速

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中国では2023年に国産化粧品市場が急拡大し、多くのブランドが新記録を打ち立てた。例えば、中国最大のショッピングイベント「ダブルイレブン(独身の日)」では中国の珀莱雅(PROYA)が初めて仏ロレアルを抜き、大手ECの天猫(T-mall)と動画投稿アプリTikTokのECで美容部門のトップを獲得、天猫で長年トップの座にあった海外ブランドを追い落とした。

美容市場調査会社の青眼情報がこのほど公表したレポート「2023年中国化粧品年鑑」(以下、化粧品年鑑)によると、2023年の中国化粧品市場では国産ブランドの規模が海外ブランドを上回った。国産ブランドが海外ブランドを超えたのはオンライン、オフラインを問わず初めてのことだ。

国産ブランドはシェア50.4%、日韓ブランドは大幅減少

化粧品年鑑によると、中国の化粧品市場の規模は2023年に前年比5.2%増の7972億元(約16兆7000億円)となった。そのうちオンライン販売は、TikTokのECなどライブコマースの拡大で4045億9000万元(約85兆円)に達し、オフラインの規模を超えた。また国産化粧品の売上高は前年比で21.2%増加し、市場シェアは50.4%に達した。

2023年の売上高TOP20の内訳は国産化粧品が7ブランド、海外化粧品が13ブランドだ。国産化粧品の上位5ブランドは珀莱雅、薇諾娜(WINONA)、韓束(KANS)、欧詩漫(OSM)、自然堂(CHANDO)で、年間GMV(流通取引総額)はそれぞれ75億4100万元(約1580億円)、49億6300万元(約1000億円)、42億2800万元(約890億円)、38億2500万元(約800億円)、34億5400万元(約730億円)だった。

(画像提供:青眼情報)

一方海外化粧品の上位5ブランドは、仏のロレアルとランコム、米エスティーローダー、P&GのスキンケアブランドOLAY、日本のSK-IIで、GMVはそれぞれ前年比0.78%減の108億7800万元(約2300億円)、6.6%増の84億6400万元(約1800億円)、9.15%減の78億9000万元(約1700億円)、33.22%増の61億6200万元(約1300億円)、5.8%減の60億7300万元(約1300億円)だった。青眼情報によると、2020年以降少なくとも20以上の海外ブランドが中国国内の旗艦店を閉店している。

ブランドの国別では、韓国、欧米、日本の売上高が軒並み減少しており、減少率は前年比でそれぞれ26.1%、0.6%、17%、シェアは6.6%、30.9%、9.7%だった。欧米ブランドはそれほど大きな変化はなかったが、日本と韓国のブランドはいずれも2桁減少した。

日本の花王やPOLAなどトップクラスの企業で2023年7-9月期の業績が振るわなかったのは、原発処理水放出の問題により中国での売り上げが伸び悩んだことが大きく影響している。

新興ECプラットフォームが重要な成長の極に

販売チャネルをみると、国産化粧品はTikTok や快手(Kuaishou)といった動画投稿プラットフォームなど新たなチャネルをしっかりと取り込み、独自のマーケティング戦術により売り上げを伸ばしている。これは海外ブランドにとっては強化すべき弱点だ。

今や新興のECプラットフォームは最も重要な成長の極となっている。化粧品年鑑によると、化粧品の売上高のチャネル別成長率はTikTok でプラス47%、快手ではプラス69.7%だったが、EC大手のタオバオ(淘宝網)や京東(JDドットコム)では伸び率はマイナスとなった。

TikTokのスキンケア部門売上ランキングTOP20には11の国産ブランドが含まれている。老舗の韓束や珀莱雅のほか、花西子(Florasis)や谷雨など新鋭ブランドもランクインした。ランキングトップの韓束は売上高が33億2500万元(約700億円)、GMVは前年比で332.06%増加し、5カ月連続でTikTokのスキンケア部門でトップを維持している。

(画像提供:青眼情報)

多くのブランドが現在の化粧品市場で最も重要な成長分野はTikTokだと捉えている。天猫が大規模なセールイベントに注力しているのとは異なり、TikTokでは日頃のち密なマーケティングに力を入れ、安定した成長をキープするという目標を掲げている。

ある新興化粧品ブランドの創業者は「新興ECプラットフォームの戦術は中国と海外とで大きく異なる。海外ブランドの多くは意思決定部門が中国にないため、中国市場の変化に素早く対応することができない。海外ブランドも一度か二度痛い思いをすれば、そこから学び追いつくことができるかもしれない」と語った。

作者:青眼(WeChat公式ID:qingyanwh)

*2024年1月16日のレート(1元=約21円)で計算しています。

(翻訳:36Kr Japan編集部)

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