日本でTemuの次にダウンロードされた越境ECアプリ「7sGood」、何が日本人を引き付けるのか

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米モバイルアプリ調査会社Sensor Towerは2023年12月、同年1月から11月の世界の各市場におけるECアプリの状況についてまとめたレポート「2023年世界ECアプリの成長と新勢力インサイト」を公表した。

2023年に最も勢いのあった越境ECアプリは、中国EC大手「拼多多(Pinduoduo)」が手掛ける格安ECの「Temu」、中国発アパレルEC「SHEIN」、アリババグループ傘下の「アリエクスプレス(AliExpress、全球速売通)」で間違いないだろう。この3つのアプリはダウンロード数やダウンロード増加率で多くの市場のランキング上位にある。ところが日本市場のダウンロード増加率ランキングには、聞きなれない「7sGood」というアプリが第2位にランクインしている。

(画像:Sensor Tower)

日本の生活経験を持つアリババの元副総裁が起業

7sGoodを立ち上げたのは中国のスタートアップ「HHO Limited」だ。アリババの元副総裁でビジネス向けコラボレーションツール「釘釘(DingTalk)」事業のCEOを務めていた陳航(別名:無招)氏が2021年に創業した。陳氏は日本で10年以上暮らしたことがあり、日本市場について非常に詳しい。

HHOは2021年9月、光るワイヤレスイヤホン「HHOGene GPods」を発売した。シェルのデザインを変えたりアプリからLEDライトの光をコントロールしたりと、自由なカスタマイズが可能な商品だ。続いて2カ月後の11月にペット向けスマートデバイスのブランド「HHOLove」を発表した。猫用のコンパニオンロボット、スマートトイレ、スマート給餌器などがあり、いずれもアプリを通じて遠隔操作できる。

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そして2022年3月にECプラットフォーム「7sGood」を発表した。日本でのみ公開されているようだが、一般的なECプラットフォームと大きく異なっているのはショート動画を中心に展開しているという点だ。

7sGoodではショート動画を見て商品を探し、品質検査チームが商品を検証する動画を確認し、注文後には商品の梱包作業を動画で見ることができる。購入前にはショート動画で商品の購入を促し、購入後は商品追跡の役割を担うことになる。

2023年6月には福岡市の天神で初めてポップアップイベントを実施した。陳氏は日本メディアの取材に対し、今は主に中国の製品を販売しているが、今後は日本企業にも出品してもらうことが目標だと語った。さらにHHOは中国でデジタル化を進めた経験を日本でも生かし、日本の農村の商品やニッチな工芸品などの販路を広げ、製造工程を簡略化することができるとも述べた。

動画視聴7秒で1ポイント

7sGoodで扱う商品は多岐にわたる。特に家庭用品、ファッション・美容関連グッズ、ペット用品、アウトドア用品などは商品数が多く、価格も手ごろだ。

日本でも大人気のTemuやSHEINに対し、7sGoodはショート動画を使った集客戦略で自社の強みを伸ばしている。

まずショート動画を見るとポイントがたまるシステムを取り入れた。ユーザーが動画を7秒視聴すると1ポイント獲得できる。1ポイントは1円に相当し、商品を購入する際に代金の一部に充当することができる。ショート動画の視聴のほかにも、連続ログイン、LINEアカウントの登録、メールアドレスの登録、ショート動画のシェアといったことでもポイントを獲得できる。

時間を数値化する手法は日本の消費者にも受け入れられているようだ。調査会社の点点数据によると、7sGoodのアクティブユーザーはアプリ平均使用時間が他のショッピングアプリよりも長い。

そして、第三者による監督を強化することで消費者の信頼感を高めている。トップページにおすすめ商品として掲載されている動画は、出品業者が撮影した商品の紹介動画と、7sGoodの品質検査チームが撮影した検証動画に分かれている。

検証動画ではフィルタリングや演出なしで、検証スタッフが一般照明のもとで商品の詳細を説明しながら性能を確認する。ユーザーが購入した商品が検証動画中の商品と同じでなければ返金・補償を求めることができるほか、同じ商品が他のECでもっと安く売られているのを見つけた場合にも、差額を補償してもらえる。

また7sGoodアフィリエイトに入会しているクリエイターたちが務める「体験官」という役割を設けている。クリエイターが7sGoodで購入した商品の梱包を解き、使用する様子をTikTokやインスタグラムといったSNSへ投稿したものが、販売商品の詳細紹介ページの下部に掲載される。商品にお墨付きを与えるのと同時に、KOC(キーオピニオンコンシューマー)やKOL(キーオピニオンリーダー)でもあるクリエイターの動画に登場する他の商品もフォローすることができる。

こうしたショート動画経由の商品購入、ポイント獲得システム、実際の利用体験を見せるなどのマーケティング手法により、7sGoodは1年半で瞬く間に日本のユーザーから注目を集める存在となった。

作者:白鯨出海(WeChat公式ID:baijingapp)

(編集・翻訳:36Kr Japan編集部)

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