IoT用OSを開発する「中科海微(seaway)」 エンジェルラウンドで数千億円を調達

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OSの存在意義のひとつに、サードパーティーのアプリケーションをハードウェアでスムーズに実行する橋渡しが挙げられる。パソコンのOSにはWindows、macOS、Linux等があり、モバイル端末のOSには、Android、iOS、Windows Phone等がある。IoTが発展している今、IoT用のOSにも注目が集まっている。

36Krはこのほど、IoTのOSを開発する企業「中科海微(seaway)」(以下「海微」)を取材した。

同社は2019年、中国科学院計算技術研究所からインキュベートされたスタートアップだ。中核メンバーは全員同研究所の出身。十数年間の技術開発を経て、海微はIoT用OS「海微Seaway」を独自開発した。現在「禧筠資本(XY Capital)」が中心となり、原子創投(ATOM VENTURES)、「中科図霊(TTCEL)」が参加する形で、数千万元(数千億円)規模のエンジェルラウンドの資金調達をした。

海微Seawayは32ビットMCU(Micro Controller Unit)搭載の組み込みシステム向けのOSで、インストールサイズは最大でも100KB以下だ。サードパーティアプリケーションの開発、ロード、実行とアンインストールが可能となっている。海微Seawayはマイクロカーネル以外にも、プロトコル・スタック、最適化した低消費電力エンジン、アプリケーション実行エンジン、AI推論アルゴリズム、セキュリティ・システムなどAIoT(AIとIoTを組み合わせた用語、IoTにおけるAIの学習機能を持つシステムのこと)の支援機能も備えている。これらのコンポーネントはすべて中科海微が独自開発したもので、マイクロカーネルRTOS(リアルタイムOS)における革新的な技術も採用されている。海微Seawayはシステム全体が独自制御可能で、海外の同種製品の代替となることができる。

中科海微の「端末-エッジ-クラウド」一体化ソリューション

同社CEOの李棟氏によれば、AIoTのOSにとって重要なのは、信頼性、安全性、低消費電力、協調作業の利便性、AIアルゴリズムのサポートと、可能な限り小さいフットプリント(プログラムが実行中に使用するメインメモリの合計量)だ。海微Seawayのフットプリントは100KB以下で、応答時間は200ミリ秒以下だ。また、MQTT、CoAPとHTTPプロトコルをサポートし、独自のメモリ・リソース節約技術やセキュリティ技術も搭載し、信頼性と安全性を高めている。

アプリケーションのレスポンス時間短縮と通信負荷を軽減するため、海微Seawayはエッジ・コンピューティングのフレームワークを採用した。このOSはサードパーティアプリケーションのリソース必要量を識別することができ、頻繁かつ負荷の少ないタスクを端末やエッジに近いサーバーで行い、複雑なタスクはクラウドで実行する。

協調作業の利便性において、海微Seawayはアプリケーションのソース・コードなどの低レベルソースについて標準化させ、開発者向けに大量なコードモジュールも提供した。これにより低レベルプログラミングによるアプリケーション開発のハードルを下げ、開発時間短縮を実現する。

OSが市場に受け入れられるかどうかは、エコシステムを形成できるかどうかにもかかっている。そのため、技術開発をさらに進めるほか、中科海微はエコシステムの形成も考えなければならない。

ビジネスモデルについて李棟氏は、「オープンソース+付加価値サービス」で収益化を目指すという。複数のチップメーカーと提携し、OSにモジュールをOEMする形で製品を中小のIoT企業に販売すると同時に、付加価値サービスを提供できるコンポーネントを開発し、AIアルゴリズムショップを作り、OSとのバンドル販売の形で、比較的大規模な企業向けにソリューションを提供し、「端末-エッジ-クラウド」が一体化した効率の良いソリューションを目指す。現在、同社はすでに金融、ヘルスケア、セキュリティ、工業などのソリューションを提供でき、複数の企業とも提携している。
(翻訳:小六)

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