生成AIへの転身で純利益230%増達成、美顔自撮りアプリ「美図」のV字回復術

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美顔自撮りアプリで知られている中国のネットサービス大手「美図(Meitu)」が、長年の試行錯誤を経て、ようやくAI領域で新たな成長ポイントを見つけて大きな成長を遂げた。

同社がこのほど発表した決算によると、2023年の調整後純利益は233.2%増の3億7000万元(約80億円)、売上高は29.3%増の27億元(約570億円)だった。月間アクティブユーザー数(MAU)は23年12月31日時点で前年同期から2.6%増加の約2億5000万人となった。

美図は長らく個人ユーザー数が頭打ちだった。2023年上半期(1~6月)のMAUは2億4700万人と半年間で1.7%しか増加せず、ピークだった16年と比べると半分近く減少した。17~21年は赤字が総額20億元(約420億円)に迫った。この期間にも美図はライブ配信、ショート動画、ソーシャルサービス、ゲーム、ブロックチェーンなどの様々なビジネスを試みたが、どれもうまくいかなかった。

しかし昨年6月、大規模言語モデル(LLM)や生成AIブームを受けて、美図はすぐにAI重視戦略にかじを切った。

昨年夏にリリースした利用料9.9元(約210円)のAI写真アプリ「妙鴨相機(StyleArt)」はAIGC(AI生成コンテンツ)分野で初の人気アプリになり、サービスを利用するのに20時間以上待ったユーザーもいたほど。美図の主力製品である写真加工アプリ「美図秀秀」もAI写真機能(写真生成費8.8元=約185円)をリリースし、再び市場の注目が集まった。

証明写真からコスプレまで「写真館並み画像」をAIで作成。中国の大人気アプリ炎上のわけ

一般的な個人ユーザーに加えて、2023年には新たなユーザーの開拓を目指して、美図は「コンテンツ制作ニーズ」を持つ人々に目を向けた。つまり、インフルエンサーやネットショップ、動画配信者(ライバー)、マーケティング担当者などの小規模事業者のニーズに対応できるようにした。こうしたユーザーは写真やビデオの撮影に費用を支払うことをいとわないが、専門業者のような高い品質を求めているわけではない。

美図はこういったユーザー向けに、ポスター自動生成プラットフォーム、AIビデオ編集ツール、デジタルヒューマンなど複数のAI関連のサービスを打ち出した。その後のユーザーの増加や有料会員への登録は予想以上だったという。例えばAIを活用した動画制作ツール「開拍(Action)」を使えば録画中にミスをしても台本(テキスト)を直接修正するだけでAIがビデオの内容を自動調整し、最初から収録し直す必要はない。これまで数時間かかっていたビデオの修正作業が数分で済む。

このほか、美図は画像生成AIモデル「MiracleVision」も発表した。MiracleVisionは昨年末に最新の4.0バージョンへとアップデートし、公開データによるとすでに174万5000人のEC業者がサービスを利用しているという。AIが生成した商品画像は累計1億400万枚に上る。

生成AI機能のリリースに伴い、美図のユーザーは世界各国で増加してきている。美図秀秀の場合、ブラジルとタイでは、アプリストアの無料アプリランキングにおいてトップに、米国と日本では2位にランクインしたことがある。

美図はAI分野への転身を図る点でまずは成功したが、まだまだ課題は多い。テンセント、TikTokを運営するバイトダンスなどのテック大手の参入に伴い、AI分野での競争はますます激化している。これら大手は技術力が高く、厚いユーザー層を抱えているうえ、資金も豊富だ。この激戦のなかでいかに優位性を保つか、これが美図の直面している喫緊の課題と言えよう。

*2024年3月19日のレート(1元=約21円)で計算しています。

(翻訳:36Kr Japan編集部)

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