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電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHEV)・燃料電池車(FCV)などの新エネルギー車(NEV)向けに、充電設備の設置・運営に注力している「北京世紀雲安新能源」(以下、世紀雲安)がこのほど、シリーズA+で数億元(数十億円超)を調達した。出資者は、博華資本(Broad Vision Funds)が管理する梁溪科創産業母基金および陽光海天停車産業集団(Sunsea Parking Industry Group)。調達した資金で市場開拓と研究開発を進める方針だという。
世紀雲安は2021年に設立された。主な事業は、公共充電ステーション(普通充電・急速充電)の計画・建設・運営のほか、自動車メーカーや不動産会社、地方自治体といった法人や個人ユーザーを対象とする充電スタンドの設置・維持管理・運営代行サービスなど。さらに、これら充電設備の設置場所にマイクログリッド(小規模電力網)によるスマート電力管理システムを提供する。また、中国政府が推し進める運営モデル「統建統営(充電スタンドの統一的な設置・管理)」により、住宅地でのEVの充電問題やデジタル化の遅れといった課題を効果的に解決している。
中国ではNEVの増加に伴い、充電スタンド市場も急拡大を続けている。2030年には、NEVの保有台数が1億台に達し、4000万台分の充電設備が不足するとの予測もある。このうち約6割を目的地充電(ホテルやショッピングモールなど移動先の施設で行う充電)が占め、市場規模は1000億元(約2兆円)に達するとみられる。
世紀雲安の張大偉・最高経営責任者(CEO)は「競争の激しい公共充電市場に比べれば目的地充電市場はブルーオーシャンで、政策の後押しもあるため、当社は目的地充電を成長戦略の軸に据えた」と話す。
同社は設立当初から一貫して目的地充電設備の運営に注力してきた。自社開発したスマート電力管理プラットフォームは、立地選定から価格設定、運営、維持・管理、顧客サービスなどを取りまとめ、安全・便利な充電ソリューションを提供できる。
世紀雲安は、さまざまなシーンに対応できるようタイプの異なる複数の直流・交流充電スタンドを自社開発し、「淘淘充」や「益虫」など複数の充電サービスブランドを打ち出している。出願した特許は10件余り、ソフトウエア著作権は20件余りに上る。また、複数の技術に関する業界基準の策定に参画してきた。
2023年には、住宅地向け充電スタンドを提供する「上海森通智達新能源科技 」との戦略的統合を果たし、共に目的地充電市場の開拓に取り組んでいる。
張CEOによると、世紀雲安の提携先は現時点で不動産企業が約300社、自動車メーカーが約20社となっており、31の省・直轄市・自治区の約300都市で広く事業を展開している。運営する充電スタンドの出力は計20万キロワット(kW)、管理する目的地充電ステーションは2000カ所近くに上る。知的財産権を保有する独自のスマート電力管理プラットフォームに接続している充電スタンドは15万台を超え、利用者は延べ数千万人に達している。
自動車向けの充電ネットワークは、将来的に仮想発電所(VPP)としての価値を発揮することが期待される。張CEOは、世紀雲安はすでにモニタリングや需給対応、割り当てなどの機能を統合した電力管理システムの構築を完了していると説明。今後は、太陽光・風力発電による電力の活用や、V2G(Vehicle to Grid)、移動充電サービス、個人所有の充電スタンドのシェアリングサービスなど新たな事業に試験的に取り組み、地域のスマート・マイクログリッドをめぐる模索とイノベーションを推し進める方針を明らかにした。
2025年末には、同社のサービスは主な一線・二線都市をカバーし、運営する充電スタンドは30万台を超える見通しだという。
*2024年4月11日のレート(1元=約21円)で計算しています。
(翻訳・田村広子)
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