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中国電気自動車(EV)最大手の比亜迪(BYD)が3月26日に発表した2023年12月期決算は、売上高が前年比42.04%増の6023億1500万元(約12兆9000億円)、純利益が同80.72%増の300億4100万元(約6400億円)だった。
2023年の販売台数は前年比62.30%増の302万4000台。また、輸出台数は同334.2%増の24万2800台と飛躍的に伸び、海外事業の売上高は同75.2%増の1602億2200万元(約3兆4200億円)となった。
BYDの王伝福会長は決算説明のカンファレンスコール(電話会議)で、中国の自動車市場において外資系ブランドのシェアが向こう3~5年で40%から10%に低下するという大胆な予測を示した。この予測は現実のものとなりつつある。
中国汽車工業協会(CAAM)によると、今年1~3月の中国ブランドの市場シェアは59.6%で、前年同期から7.4ポイント増加した。一方、外資系ブランドの市場シェアは軒並み下がり、ドイツ系ブランドは1.5ポイント減の20.4%、日系ブランドは2.2ポイント減の13.8%、米国系ブランドは1.8ポイント減の8.2%となった。
日系ブランドの自動車はかつて、その耐久性を強みに中国市場で確固たる地位を築いたが、ここ2年は市場シェアが縮小している。乗用車市場信息聯席会(CPCA)のデータによると、日系ブランドの市場シェアは外資系の中で最も減少が激しく、2021年が22.6%、23年が17%、現在は15%だ。
このうちホンダの失速が最も顕著だ。ホンダが中国に設立した合弁会社・広州ホンダの販売台数は今年3月、前年同期の8万6000台から3万台へ、同じく合弁会社の東風ホンダも6.5万台から2.8万台へと、いずれも半分以下に減少した。報道によると、日系メーカーは中国での生産能力を減らす検討に入り、日産は最大で3割、ホンダも2割減らす意向だという。
日系ブランドは中国の自動車市場で価格競争にさらされ、大幅な値下げも始めている。例えば広汽トヨタの第9代「カムリ(凱美瑞)」は発売価格を17万元(約360万円)に下げたが、中型セダン市場で大きなシェアを獲得していない。その上、BYDが「EVはガソリン車より安い」とうたって発売した「秦PLUS栄耀版」は、大型セダンながらエントリーモデルの価格帯を8万元(約180万円)以下に引き下げた。
さらに、進化を続けるBYDの技術が市場の構造を変えつつある。王会長は、同社が独自に開発したプラグインハイブリッド機構「DM-i」の第5世代を今年5月に発表する計画を明らかにした。第5世代はエンジン効率が第4世代の43%から46%に上がったことで、低充電時のガソリン消費量が100キロあたり2.94リットルに抑えられ、ガソリン満タン・満充電での航続距離が2000キロに上るという。進歩したこの次世代プラグインハイブリッド機構と比べると、日系ブランドの経済性もかすんでしまう。
BYDは中国市場でその実力を余すところなく示し、世界市場でも事業を拡大する基礎を築いた。世界の新エネルギー車市場で中国ブランドが急速に普及する中、日系ブランドは中国ブランドとの激しい競争に直面している。世界の自動車市場の勢力図は向こう数年の間に大きく塗り替えられる可能性が高い。
作者:品駕(WeChat公式ID:Ping-Drive)、董楠
*2024年4月22日のレート(1元=約21円)で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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