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工業向けに生成AIを活用した設計ソリューションを提供する中国企業「設序科技(Design Order)」がこのほど、シリーズA+で約1億元(約20億円)を調達した。阿米巴資本(Ameba Capital)、涌鏵投資(Yonghua Capital)および既存株主の聯想創投(Lenovo Capital and Incubator)が共同で出資を主導した。資金は新事業の開拓、製品開発、マーケティングに用いられる。
設序科技は2020年に上海市で設立された。独自開発のAIを活用したエンジニアリング技術「AIGE(AI Generated Engineering)」を基盤として、工業分野の設計やシミュレーション、プロセス、製造などの効率化と品質向上をサポートするAIベースのサービスを提供している。
現在、自動車など工業分野の設計では、エンジニアが何度も部品モデルを作り直しながら、図面に修正を加えていく必要がある。設計が完了しても、シミュレーションなど複数の工程でスムーズに連携できず、修正案も集約しにくいなど、全体的に効率が低い状態にある。
こうした課題を解決するため、設序科技は設計プロセスにAIを導入し、ソフトウエアとしてリリースした。工業分野の業界データを使って訓練されたAIは、エンジニアの入力したコマンドを理解し、それを基に3Dモデルや図面の作成を行える。調整が必要な場合には、AIが元の図面に基づき関連部品に自動で変更を加えるため、これまでのように改めてモデルを作り直す必要がない。
同社の創業者・呉泳栄CEOによると、同社のAIサービスは、習熟度の高い分野なら数分で100枚以上の図面を生成できるため、設計効率が10倍以上に高まり、納品サイクルの短縮にもつながる。
主力プロダクトの設計ソフト「閃設」は自社開発の生成AIを搭載しており、クラウドアーキテクチャ上で生成機能や対話機能を提供する。すでに自動車や航空など複数の業界で導入されており、今年は対応できる業界をさらに拡大していくという。
独自開発の生成AIについては、パラメータ数やデータ量を継続的に増やし、生成精度やアルゴリズム性能の向上を図ってきた。さらに自然言語処理モデルを組み込むことでコマンド入力にも対応させ、使用感をいっそう高めることに成功している。
設計プロセスにAIを取り入れた設序科技のソフトは、従来の工業用ソフトと比べて煩雑な人的作業を減らせるほか、クラウドを活用することで導入コストの削減やリアルタイムのコラボレーションを可能にした。
設序科技は主に法人向けに事業を展開している。自動車や航空分野などの大手メーカー向けには総合的な設計サービスを打ち出し、設計ソリューションやソフトウエアを提供している。中小企業に対しては標準ソフトの販売が中心となっている。2021年に収益化を果たしてからは、売上高の倍増が続く。
*2024年5月10日のレート(1元=約22円)で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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