AIと産業の組み合わせに活路 法人向けサービスの拡大を目指すアリババクラウド

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4年で収入が20倍に伸びた「アリババクラウド(Alibaba Cloud)」。昨年11月に胡暁明前総裁から同社を引継ぎ新総裁に就任した張建峰総裁だが、新たな問題に直面している。現在のアリババクラウドは中国のパブリッククラウド(IaaS+PaaS)市場で43%のシェアを占めており、トップに立っているが、その成長は減速傾向にある。昨年は年間で84%だった収入増加率が、今年は6月の第2四半期時点で66%に下落している。

張氏へのインタビューをダイジェストでお知らせする。

ーー百度、ファーウェイは今年も「AI+クラウド+ビッグデータ」というコンセプトを唱えていますが、アリババクラウドはこれらの企業と何が異なりますか。

「まず、インターネット企業のミドルウェア化戦略を展開していることだ。簡単に言えば、技術やデータ、カルチャーを統一すること。この概念はアリババが最初に提起したものだ」

「アリババクラウドが他と異なる大きな点は、自社の様々な業務で使用されて実践経験を積んでいることだ。それゆえ、今年我々はアリババが所有するIT設備、データミドルウェアを全てアリババクラウド上に移すという非常に重要な決定を行った」

ーーアリババクラウドは主にどの業界での発展を重視していますか。

「我々が得意とする技術はクラウドやビッグデータ、IoTなどであり、専門とする業界はリテール、金融、サプライチェーンだ。それ以外では政府のデジタルトランスフォーメーションをサポートしている。現在、我々の協力の下、浙江省政府(アリババ本部の所在地)がデジタルトランスフォーメーションで成功を収めている」

「さらに国家税務総局の個人所得税システム全体もアリババのクラウドプラットフォーム上にあり、これは国家の部署の重要なシステムに使用された初めてのケースだ。現在最もアリババクラウドを使用している事業体は中国郵政で、5000台以上のコンピュータ・クラスターをアリババクラウド上に置いている。

ーー「雲栖大会(アリババグループが毎年開催するテック系イベント)」では各業界におけるAIとAIの普及について語られていましたが、これらの概念の達成における最大の課題は何でしょうか。

「AIは効率を向上させるためのツールだと思っている。それゆえAIは産業と組み合わせる必要がある。そうでないとAIは意味を成さないからだ。AIと産業のマッチングを行う上で壁となっているのは問題が非常に断片化していることであり、各業界が抱えている問題がそれぞれ異なっていることだ。AIが最終的に産業において成功を収めるには、業界経験が豊富な方々の助けを借りなければならない」

ーーファーウェイが独自開発のOS(オペレーティングシステム)「鴻蒙(HongMeng)」を発表しましたが、アリババのOSもかなり前から開発されていましたね。IoTにおいて、世間ではアリババとファーウェイがよく比較されるようになりましたが、両社による競争をどうご覧になられますか。

「OSに初めて取り組んだのはアリババで、少なくとも8~9年前だ。そしてアリババの『YunOS』は国内で初めて量産されたOSだ。我々が提供しているのはソリューションであり、一般的なハードウェアやインターネット技術を用いてより強固で将来を見据えたシステムを構築することが可能だ。これこそアリババができる貢献だ。我々は顧客へのサービスに重きを置いており、誰かと競争するためではなく、よりよい未来のために存在している」

ーーアリババクラウドは今後どんな課題に直面すると思われますか?

「『ニーズによるけん引と技術による主導』だ。この点で肝心なのは将来的なニーズと今後の技術の傾向をどう見るかであり、両者を効果的に組み合わせることができるかどうかがポイントとなる」

アリババはいわば「ビジネスのOS」になり、クラウドの境界をさらに外へ拡大すべきだと張勇(ダニエル・ チャン)氏は語っている。アリババクラウドはインターネット企業から法人向けサービス企業への転換を図るべきであり、これも非常に重要なことだ。また法人顧客は非常に高品質なサービスを求めているため、コンサルティングからソリューションまでを網羅した作業、納品、サービスを行う必要がある。これはアリババがパブリッククラウドの時代には経験していない分野だ。これら3つの点はアリババクラウドが今後直面する非常に大きな課題であり、克服するために策を講じなければならない。
(翻訳・虎野)

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