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グリーンエネルギーに関わるソリューションを提供する中国スタートアップ企業「毅鏷科技(YiPu New Energy Technology)」(以下、YiPu)がこのほど、シリーズAで知能資本から1000万元(約2億円)を調達した。資金は主にアルカリ水電解装置と水素製造技術の開発、国内外市場の開拓、チームの構築に充てられる。
2020年4月に設立されたYiPuは、次世代のアルカリ水電解装置と水電解水素製造技術を開発し、アルカリ水電解装置の製造、輸送、調整・組立、メンテナンスにかかるコストを大きく下げることを目指している。
設立からこれまでの4年間に、企業だけでなく大学や研究所とも提携してきた。中国鉄鋼最大手の宝武鋼鉄集団(BAOWU)や発電大手の国家電力投資(SPIC)、航空宇宙の航天科技(CASC)などと、広東省、内モンゴル自治区、新疆ウイグル自治区で複数の水電解水素製造プロジェクトを進めたほか、上海交通大学や中国科学院上海応用物理研究所とも提携プロジェクトを実施している。
創業者の羅堅氏によると、次世代アルカリ水電解装置のプロトタイプはすでに江蘇省蘇州市にある同社の工場でテストを行い、国内トップクラスの鉄鋼メーカーとメガワット(MW)クラスの次世代アルカリ水電解水素冶金実証プロジェクトを実施することで契約する見通しだという。
YiPuの水電解水素製造技術は2022年4月、宝武鋼鉄集団の子会社が建設した世界初の工業用複合型水電解水素製造装置に採用され、この2年間安定した稼働を続けてきた。この間に得られた多くのデータをもとに、年内にも水電解水素製造技術をバージョン2.0へとアップグレードする計画だ。
同社は海外事業も積極的に開拓している。昨年にオランダのアムステルダムに子会社を設立し、現在はフランス、ドイツ、スペイン、ポーランド、サウジアラビアなどで海外事業を展開する。今年4月にはフランスの新エネルギー企業から5MWの水素製造システムの設計・調達・建設(EPC)業務を受託した。同プロジェクトに携わる水電解装置メーカーは同社のみで、水素製造システムや補助装置などの設計から設置、調整までを一括で担う。このことは同社が水素製造事業で海外市場へと本格的に参入したことを印象づけるものであり、羅氏は「中東とオーストラリアでの市場開拓も大きく進むことを期待している」と語った。
2024年1月、毎時60ノルマルリューベ(Nm3)の水素を製造可能な次世代アルカリ水電解装置のプロトタイプを完成させ、2月に通電検査を開始した。また、毎時200Nm3の装置も設計の最終段階に入り、6月にはプロトタイプが完成する予定で、まずは鉄鋼業界で試験運用を進めるという。今年後半もしくは来年初めには毎時500 Nm3の装置の設計と製造に着手し、完成すれば化学工業分野での試験運用に入る見通しだという。
大規模な水素製造事業を実現するうえで、これまでコストが大きなネックだった。同社の次世代アルカリ水電解槽と水電解水素製造技術なら、水素製造プロジェクトの設備投資にかかる固定費と稼働後の運用コストを大きく下げることができ、結果的に水素製造の経済性が向上すると羅氏は説明した。
YiPuは次世代アルカリ水電解装置の開発を進めており、「20%のコスト削減、50%の軽量化、30%の製造効率向上が可能で、2025年にリリース予定のアップグレード版は、3つの指標がさらに改善される」という。なお、次の資金調達計画にも着手した。
*1元=約22円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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