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中国の消費トレンドに変化が生じている。使うべきときは使うが、節約すべきときはしっかり節約する。有名ブランドの高級品が買えても、手頃な代替品で済むなら、コストパフォーマンスの高い方を選ぶ。1990年代半ば以降に生まれたZ世代を中心に、品質と価格のバランスを重視した新しい消費と生活のスタイルが広がっている。
新しい消費トレンドを代表するキーワードの一つが「平替」だ。中国青少年研究会が発表した「2023年若者検索キーワード報告書」によると、高級品の手頃な代替品を示すこの言葉は、電子商取引(EC)大手アリババグループの検索エンジン「夸克(Quark)」の年間上位検索キーワードの一つとなっている。同報告書はこれについて、若者が消費においてより理性的になり、有名ブランドや高価格をやみくもに追い求めるのをやめ、安くて良い品、コストパフォーマンスの高い品に注目するようになったことを表すと分析する。
交流サイト(SNS)でインフルエンサーとして10年近く活動している欣欣さんは、製品自体の価値に目を付けるフォロワーが増えたと感じている。「メークや着こなしを重点に発信している。以前は有名ブランドの商品かどうか、フリーデザイナーの作品かどうかを気にしてコンテンツを書いていた。だがここ数年、読者に対する有名ブランドの魅力は明らかに色あせている」と語る。
多くのネットユーザーにとって、代替品を選ぶことはコストパフォーマンスを求めることを意味する。特に有名ブランドのメーキャップ化粧品は価格が必要以上に高く、新製品への移行の周期も速いので、代替品を買えば大幅な節約になる。ニーズに合った商品を運よく安く買えれば、自分は「買い物上手」だと誇らしい気分になり、満足感も大きい。
アリババグループ傘下の工場直販ECサイト「1688」は1日、同プラットフォームで代替品のニーズが高い10品目を発表した。漢民族の伝統衣装「漢服」、樹脂素材の穴あきサンダル、日焼け防止服などを含む10品目の1日当たりの検索数は最近、前年同期比で2桁以上増加しているという。
同サイトのデータによると、1688のユーザーは大都市に住むZ世代が中心で、女性が多い。主な消費者層は大学生、若い母親、流行に敏感なホワイトカラー。代替品へのニーズはこうした層の間で特に高まっている。また1688のユーザーは、口コミ情報などが多い中国のSNS「小紅書(RED)」のユーザーとかなりの程度重なり合う。小紅書には現在、1688に関する投稿が200万件以上あり、多くが自発的に投稿された「おすすめ」系の内容だ。
北京市社会科学院の王鵬デジタル経済研究員は若者の代替品志向について、消費のランクが落ちているわけではなく、極端な低価格を求めているわけでもないと指摘する。若者が求めるのは品質はそのままで価格は手頃な商品であり、そうした消費の仕方自体が若い世代のトレンドになっている。代替品はやりの背後にあるのは「高いものを買ってもいいし、買えないわけではないが、高く買うわけにいかない」という当世の若者の消費と生活に対するポリシーなのだ。(新華社北京)
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