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コワーキングスペースを展開する米WeWorkは、上場を目指してからというもの苦難の連続に見舞われている。今月18日、カナダのトロントで新たなオフィス物件を探していた米Googleが、WeWorkのライバルである世界最大手のレンタルオフィスIWGと賃貸契約をかわしたと発表し、WeWorkが袖にされたことがわかった。
カナダ市場の開拓を加速させているグーグルは、トロント中心部に新しいオフィスを構える方向で今年6月から調整に入っていたという。トロントは金融サービスやテクノロジー企業の成長が著しく、物件不足も相まって、北米でも最もオフィスの借りにくい市場といわれている。そこでGoogleはWeWorkと協議を進め、物件の一つに白羽の矢を立てていたという。しかし、最近になって醜聞の絶えないWeWorkを尻目に、同社はIWGと複数年にわたる賃貸契約を結んだ。金融街の中心にあるオフィスビルの、合計2万4000平方フィート(約2230平方メートル)にも及ぶ2フロアを契約したという。
海外メディアの報道では、WeWorkのロビン・ダニエルズCMO(最高マーケティング責任者)が近く退任するという。同社では先日、創業者兼CEOだったアダム・ニューマン氏と、その妻でCBO(最高ブランド責任者)を務めていたレベッカ・ニューマン氏が相次いで辞任している。
一方、競合のIWGはこの機に乗じてブランド展開を拡張し、さらなる市場シェアを奪いにきている。同社はすでに30年以上の歴史を持つベルギー企業で、会員数、物件リソース、事業進出した国の数など多くの部分でWeWorkに勝っているものの、評価額は37億ドル(約4000億円)にとどまっている。WeWorkの評価額はピーク時で470億ドル(約5兆1000億円)に達していた。
派手に事業拡大を行ってきたWeWorkと異なり、IWGはレンタルスペースを提供するパイプライン型企業として、金融危機後に限界費用が間断なく増大していく中、事業規模を縮小する策を採った。手持ちの物件を有効利用し、活性化し、安定した収益を維持していくことに集中したのだ。
WeWorkは金融危機のさなかに誕生した新興企業ということもあり、数多くの競合企業を買収し、ラテンアメリカ、中国、インドと国際市場を次々と攻め、グローバル化の加速と同時に教育事業など複数の事業にも手を着けていった。潤沢な資金を背景にコスト度外視の拡大を行ったため、2018年の決算では19億2700万ドル(約2000億円)の損失を計上している。
投資市場でスポットライトを浴びた以外にその事業スキームにおいても、WeWorkは悪い意味で投資家からの注目を集めた。同社は表向きにはテクノロジードリブン(技術駆動型)の企業であり、オンラインプラットフォームを通じてオフィス空間を提供する管理者であり、アセットライト型のシェアリングエコノミーを推進する企業だ。しかし、「物件を低価格で借り入れ、内装を施して第三者に高額で貸し出す」という事業スキームは、形式上はパイプライン型企業といえるが、オンラインプラットフォームを通じた「又貸し」であることに変わりない。
9月に上場を中止して以降、WeWorkの評価額はわずかな期間で暴落した。最盛時はソフトバンクの追加出資によって470億ドル(約5兆1000億円)に達したこともあったが、直近では70億ドル(約7600億円)にまで下げている。さらに、同社のマネジメント構造の改革も投資家たちの信頼を失う結果となった。上場中止後、同社は大規模なリストラを敢行していく方針で、経営陣の離職も続き、存続が厳しい状況となっている。
このままでは同社の手持ち資金は11月には底をつく。事業の続行に必要な資金を外部から早急に調達しなければ、年を越すのは不可能だ。支出を削るために海外事業を撤退させ、米マンハッタンに創立した起業家養成学校「WeGrow」を閉校し、2000人規模のリストラを敢行したとしても追いつかないかもしれない。
過去には同じくシェアリングエコノミーで頭角を現したライドヘイリング企業のUberやLyftが上場後に株価を暴落させた悪例もあり、WeWorkのように高評価額をつけていても直接的な収益源を確立していない企業に対しては、投資家の警戒心が高まっている。受け入れ先のないWeWorkは最大の試練に対峙することになるだろう。
ソフトバンクは同社最大の株主として助け舟を出す方針で、50億ドル(約5400億円)の追加出資を行うと言われている。また、23日付のロイターの報道によると、ソフトバンクは最大30億ドルのWeWork株を買い付けることで、運営元であるThe We Companyの経営権を取得することになるそうだ。
しかし、この大きな賭けはソフトバンク自体にもリスクを及ぼしている。東京株式市場でソフトバンク株は続落傾向だ。いずれにせよ、命綱1本でつなぎ止められたWeWorkは、起死回生を賭けた勝負は短期的には終息することはないだろう。
(翻訳・愛玉)
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