中国、AIが各業界の技術革新を後押し コア産業規模は約11兆円超

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 「新エネルギー発電は二酸化炭素(CO2)排出係数がゼロなのでスクリーン上の表示は緑だが、火力発電は排出係数が最も高いので色も一番濃くなっている」。中国天津市で23日まで4日間開かれた世界インテリジェンス博覧会の国家電網(送電最大手)の展示エリアでは、職員が来場者に「電力系統CO2排出量トレーサビリティーシステム」について説明していた。
 
システムは国家電網傘下の国網天津市電力が開発し、先進的なグラフ処理技術を採用。火力発電所や新エネルギー発電施設、重要な変電所の発電・電力使用功率をモニタリングし、区域内の電力とCO2の流量をリアルタイムで表示するほか、天津の電力網の電力1キロワット時当たりのCO2排出量を動的に計算でき、低炭素発展の参考となる。
 
同システムは人工知能(AI)技術を運用した最新事例の一つで、博覧会では世界のインテリジェンス技術の最新成果が展示された。現在の中国ではAIの新技術が次々と出現して各業界を活性化させ、「新たな質の生産力」(科学技術イノベーションが主導し、質の高い発展を促す生産力)の重要なエンジンとなっている。
 
中国第一汽車集団がトヨタ自動車と合弁運営する一汽豊田汽車(一汽トヨタ)も新エネルギー車の複数のモデルを展示。天津の新エネ車工場で生産された多くの新エネ車は、同市でタクシーとして利用されている。
 
同市の南開大学中国式現代化研究院と中国新一代人工智能発展戦略研究院が博覧会で発表したリポートによると、中国のAIコア産業規模は2023年6月時点で5000億元(約11兆円)に達した。
 
生活分野では、ホテルチェーン華住酒店集団傘下の海友酒店上海江橋封浜地下鉄駅店がチェックインから洗たく、食事、荷物預かり、チェックアウトに至るサービスをセルフ化。従来の有人フロントに代わりデジタルフロントモジュールを導入することでチェックインとチェックアウトの時間を大幅に短縮した。同ホテルの支配人は「AIは従業員の活性化に寄与している。従業員はフロントを出てより効率的なサービスを提供できるようになった」と語った。
 
中古車分野では、自動車情報アプリの「懂車帝」がスマート査定システム「D−BOX」を開発。自動化率の向上と査定ミス率の低下により人的コストを半分近く節約した。
 
AIは建築方法も変えつつある。天津市の都市インフラを手がける天津城市基礎設施建設投資集団は博覧会で、河西区柳林街区再開発プロジェクトの智匯センタービルの建設で用いた高層ビルを積み木のように建てる建設機械技術のシミュレーションを展示した。ブーススタッフによると、中国が独自に開発した設備プラットフォーム、付帯建造技術で、従来の建築技術に比べ質が高く、建築期間も管理しやすく、コストは経済的で環境に優しいなどの特徴を持つという。
 
中国ではここ数年、インターネット検索大手、百度(バイドゥ)の対話型AI「ERNIE Bot」(アーニーボット、文心一言)、音声認識技術大手の科大訊飛(アイフライテック)の大規模言語モデル「SparkDesk」(星火認知)などのAI大規模モデルが数多く登場し、AIの活用が新たな高みへ向かいつつある。
 
技術分野の最高研究機関、中国工程院の院士(アカデミー会員)、王恩東氏は、AI大規模モデルが生成AI産業の急速な発展を促し、科学探索や技術開発、芸術創作、企業経営など多くの分野に巨大な革新機会をもたらすと語った。(新華社天津)

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