次世代電池の負極材に照準、中国のシリコン・炭素複合材料メーカーが独自技術で量産へ

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リチウムイオン電池の負極材に使用するシリコン・炭素複合材料を開発する「星科源新材料科技」(以下、星科源)がこのほど、シードラウンドとエンジェルラウンドで計5000万元(約11億円)余りを調達した。出資したのは紅杉中国(HongShan、旧セコイア・チャイナ)のシードファンド、険峰長青(K2VC)、水木清華校友基金(Tsinghua Capital)、産業界のエンジェル投資家など。調達した資金は、主に研究開発や生産ラインへの投資、市場開拓などに充てられる。

2022年1月に設立された星科源は、すでにナノシリコンの小規模な量産を実現し、高性能シリコン・炭素複合材料の調製にも成功している。

リチウムイオン電池の性能を左右する重要な構成材料の負極材は目下、黒鉛系材料が主流となっている。これに対してシリコン系材料はエネルギー密度が高く、急速充電性能や低温特性などに優れており、次世代電池に適した負極材として急成長を遂げている。

負極材用のシリコン・炭素複合材料の調製には、化学気相成長法(CVD)や物理気相成長法(PVD)などさまざまな手法がある。星科源は、ナノ材料技術における20年以上の経験を生かし、一般的な流動層CVD法とは異なる全く新しいCVD技術を開発した。自社設計した次世代のCVD装置は、粒子径が数十ナノメートル(nm)のナノシリコンを生産し、負極材料の被覆処理も行える。

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星科源の創業者・李学耕氏によると、同社は粒子径10nm以下のナノシリコンを量産できる世界でも希少なメーカーで、関連するコア設備や製造プロセスも独自に確立したという。超微粒子ナノシリコンをベースにしたシリコン・炭素複合材料を使えば、リチウムイオン電池負極材の比容量や初回充電効率、サイクル寿命が大幅に高まる。また、電池の膨張や急速充電のスピード不足など、商品化の妨げになる問題を効果的に解決できる。現在主流の流動層CVD法に比べ、自社が開発した技術はシンプルかつ安全で、連続生産が可能なうえに製品の安定性が高いなどのメリットがあり、コスト面でも優れている。

そのナノ材料生産技術や設備は、量子ドット発光材料、標的薬、触媒、表面改質コーティング、次世代半導体材料の調製にも応用できる。

同社はすでに、同業者向けに小ロットのナノシリコンを供給できる体制を整えている。2023年には、業界のトップ企業にテスト用サンプルを送付した結果、複数企業と提携の合意に至っている。李氏の話では、25年末までにナノシリコン100トン、シリコン・炭素複合材料250トンの生産ラインが完成する見通しだという。

*1元=約22円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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