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全固体電池は、エネルギー密度や安全性、充電速度、サイクル寿命が優れており、「究極の車載電池」と称されている。業界では、全固体電池の普及がガソリン車時代の終わりを告げるという見方が一般的だ。そのため、全固体電池の技術革新と開発の進捗に、投資家はずっと強い関心を抱いてきた。
中国の全固体電池分野では2022~23年に、プライマリーマーケット(一次市場)で計23件の資金調達が実施された。清陶能源(QingTao Development)、衛藍新能源(WELION New Energy Technology)、輝能科技(ProLogium Technology)といったトップメーカーは、評価額が100億元(約2200億円)を超えるユニコーン企業に成長した。今年3月以降も高能時代(High Energy Era)、中科固能(CASOL Energy)、融固新材料、毅華新能源、星科源が資金調達を実施。全固体電池を開発するこれらの企業には、高瓴(Hillhouse)、紅杉中国(HongShan)、東方富海(Oriental Fortune Capital)、険峰長青(K2 Angel Partners)などの著名な投資機関が相次いで出資している。
投資機関・雲道資本(Six Sigma Capital)の於少佳氏は、中国車載電池大手の寧徳時代(CATL)が今年4月の中国国際電池技術交流会(CIBF)で、2027年に小ロットで全固体電池を生産するという目標を発表したことで、同分野への投資が大きく加速したとの見方を示す。
CATLのほかに、自動車メーカーの広州汽車集団(GAC)が2026年までに全固体電池の量産を開始する計画を発表した。車載電池大手の国軒高科(Gotion High-Tech)も全固体電池「金石」を発表し、27年の走行試験および2030年の量産化を目指すとしている。
こうしたメーカーの動きは、全固体電池産業が急発展していることの表れだ。リチウムイオン電池メーカーの開発部門責任者は、中国が全固体電池分野で日本と韓国に追いつくため、取り組みを強化していると説明した。中国日報の報道によると、中国工業情報化部は全固体電池産業の支援政策を検討中で、企業の投資促進に向けて約60億元(約1300億円)を拠出する準備をしているという。この政策が実施されれば、中国で全固体電池の開発はいっそう加速するとみられる。
全固体電池産業は投資や政策支援を受けて急速に発展しているが、本格的な量産がいつ実現するかは依然として不透明だ。全固体電池の実用化は、製法と技術の面で大きな課題にぶつかっている。この分野で世界最多の特許を有するトヨタも、いまだ量産には至っていない。実用化には安全性、エネルギー密度、サイクル寿命、充電速度、耐熱性、電池管理システムという6つの指標をクリアする必要がある。
このように全固体電池は開発が進んでいるものの、大規模な実用化にはまだ時間を要する。しかし、潤沢な資金を持つ投資機関にとって、全固体電池産業チェーンに投資することは合理的な戦略と言える。長期的に考えれば、多少のリスクを背負ってでも「第2のCATL」に賭けるチャンスを逃す訳にはいかないだろう。
*1元=約22円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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