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中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が6月21日、開発者向けの年次イベント「HDC2024」を開催した。
イベントでは、次世代OS「Harmony OS Next」のベータ版テストを開始すると発表した。Harmony OS Nextは、Harmony OSシリーズ初の非AndroidベースのOSで、「中国初の完全独自OS」だという。
Harmony OS Nextは今年8月に同社のスマートフォン「Mate60」と「Pura70」でアップデート可能となり、来年はさらに多くの機種で利用できるようになる。
さらに、独自の大規模言語モデル(LLM)「盤古(Pangu)」の第五世代「盤古5.0(Pangu Grand Model 5.0)」も発表された。盤古はここ1年でさまざまな業界に浸透し、自動運転や身体性を持つ人工知能「エンボディドAI」、医薬、気象、鉄道、鉄鋼など30以上の業種、400以上の場面で活用されている。
大幅にアップグレードされた「盤古」
イベントでは、ファーウェイの常務取締役でファーウェイクラウドCEOの張平安氏が「盤古5.0」を発表した。新モデルは、さまざまなビジネスモデルへの適用、強力な思考、マルチモーダルという3つの面が向上した。
盤古5.0には複数のパラメータレベルがあり、それぞれ異なるビジネスシーンで活用される。
・10億パラメータ級のEシリーズ:スマートフォンやPCなどのスマート端末向け、ネットワーク接続無しに小型LLMの利用が可能。
・100億パラメータ級のPシリーズ:低遅延、低コストの推論に活用。
・1000億パラメータ級のUシリーズ:複雑なタスクの処理に適しており、企業の汎用型大規模モデルのベースにすることが可能。
・兆単位パラメータ級のSシリーズ:クロスドメインやマルチタスクの処理に適した超大型のLLMで、企業があらゆるシーンでAI技術を活用できるようサポートする。
盤古5.0は盤古3.0をベースとしており、テキストや画像、動画のほか、レーダー、赤外線、リモートセンシングなどさまざまな形態の情報を理解・生成でき、多くの産業で活躍が期待される。
画像や動画の処理では、10Kという極めて高い解像度に対応し、コンテンツ生成においても、業界初となる生成技術「STCG(Space-Time Controllable Generation)」を採用した。この技術は、特に自動運転や産業、建築といった分野に適用され、物理法則に沿ったさまざまなモダリティのコンテンツを生成することができる。
例えば、自動運転技術の分野に活用すれば、非常にリアルな走行動画を生成できるだけでなく、車両の挙動や周囲環境との相互関係などを高度に再現し、さまざまな視野角、天候、明るさについて一貫性が保たれる。
またこのモデルで自動運転システム向けの高度な訓練用動画を作ることができる。6つの異なるカメラの画角で閑散とした街中から多くの車両が行き交う複雑なシーンまでを再現し、さまざまな気象条件を網羅するなど、データセットの豊富さと多様性が強化された。
細かな部分に目を向けると、例えば雨天時の薄暗い環境では、自動車のテールランプが点灯するなど、現実世界の現象を深く理解しシミュレートする能力を備えていることが分かる。この技術を活用すれば訓練用教材の質が向上するだけでなく、自動運転の研究や開発を強力にサポートすることができる。
建築分野であれば、モノクロの設計案をもとに、質感を伴った建築物の完成予想図をカラーの3D動画に仕上げることができる。これまで複雑な建築群のコンセプト設計に数週間かかっていたが、盤古ならわずか数十分で生成する。このブレイクスルーにより設計の効率が向上するだけでなく、建築士がより優れた建築物を生み出せるよう手助けする。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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