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中国で介護業界に進む若者が増え続けている。大学などの高等教育機関で2015年以降、高齢者サービス専攻課程の設置が進んだのが要因の一つで、市場の拡大や待遇改善も影響しているという。
王金博さん(24)は、北京市の高齢者向けマンション「納蘭園」で介護福祉士をしている。この仕事はすでに2年になるといい「お年寄りと話すのが好き。マンションの入居者は身の回りのことがある程度でき、気持ちや意思を言葉で伝えられるので、楽しくコミュニケーションをしている」と語った。
同マンションで看護師を務める王富麗さんも24歳。中等専門学校で看護を専攻した後、高等教育課程で高齢者保健・マネジメントを学んだ。高齢化が進む中国で介護業界は発展の余地が大きく、将来性があることが、この仕事を選んだ理由だという。
納蘭園を運営する北京泰和養老服務産業発展の李想総院長は、介護業界を選ぶ30歳以下の若者が10年近くで顕著に増えていると説明。同社が運営する高齢者施設でも14年には10%未満だった30歳以下の職員の割合が今年は25~30%になったとし「高齢者サービス専攻課程を設置する高等教育機関の増加や介護業界の市場拡大、介護従事者全体の待遇の向上と密接に関係している。今後はますます多くの若者が業界に新たな活力をもたらすだろう」と語った。
施設側も若者を取り込む施策を積極的に打ち出している。浙江省麗水市縉雲(しんうん)県の施設がこのほど導入した「異世代共同生活」介護モデルは、施設でのボランティア活動を条件に若者に入居資格を与え、家賃も活動の時間に応じて減免している。
家賃は月額千元(1元=約22円)だが、高齢者に付き添う時間が月10時間で200元、20時間で500元減額され、30時間で全額免除される。
20代前半の藍伊婷さんは同施設の最初の募集に応募した若者の1人で、毎日仕事を終えると高齢者と1~2時間、象棋(中国将棋)や卓球、おしゃべりをして過ごす。家賃のほとんどが減免されるという。藍さんは「確かに生活費はかなり節約できる。施設の入居者は祖父母の年齢とほぼ同じで、私を見ると笑顔を見せてくれるのでとても温かい気持ちになる」と語った。
国家統計局の最新の人口統計によると、中国の60歳以上人口は23年末時点に2億9697万人となり、総人口の21.1%を占めた。割合は10年に比べ7.8%増加した。異世代共同生活介護モデルは、高齢者に共に過ごす相手と精神的な安らぎを提供し、新たな体験をする勇気を呼び覚ますだけでなく、若者の生活負担も軽減できる。高齢者と若者の二つの世代が同居することは、施設に若々しい雰囲気を添えることにもなる。
(新華社北京)
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