指紋認証が誰でも解除できる?サムスンの一部機種で不具合 各金融機関も対応に追われる

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指紋認証登録はすでにスマホの標準装備だ。しかしサムスンのスマホではセキュリティ上の問題が発生しているという。

報道によると、サムスンは近ごろ同社製スマホのフラッグシップモデルの多くの指紋認証システムに重大な欠陥があり、持ち主以外によるロック解除が可能であることを認め、ユーザーには登録済みの指紋を削除するよう推奨しているという。

主に影響を受けているのは「Galaxy S10」と「Galaxy Note 10」のスマホ2機種と「Tab S6」のタブレットなどだ。これに伴い、世界中の金融機関が警戒を強めている。

19日、中国銀行は「サムスンの一部スマホによるモバイルバンキングの指紋サービス一時中止の公告」を発表。公告ではユーザーの安全のため、同行のモバイルバンキングアプリは上記機種の指紋登録機能を停止するとした。このほか、モバイル決済サービスのアリペイ(支付宝)とWeChatペイ(微信支付)も該当機種を使用した指紋認証による決済を緊急停止している。

今回の問題は英紙「サン(TheSun)」が17日に報じたもの。英国のある女性が自身の右手親指で新しいGalaxy S10に指紋を登録した。しかし自分で購入した液晶保護フィルムを貼りつけた後は、登録していない指紋でもロック解除が可能になってしまったという。

中国メディア「毎日経済新聞(National Business Daily)」によると、中国銀行以外にも韓国のネットバンク「KakaoBank」やクレジットカード会社など多くの金融機関がすでに該当機種の指紋認証による利用を停止していると発表。併せてユーザーには問題が解決するまではパスワードもしくはパターン入力によるロック解除を推奨しているという。

一部機種によるセキュリティ上の欠陥からサムスンは再度危機に陥っている。2016年に発売された同社のスマホ「Galaxy Note 7」の爆発、発火事件と、これに関するリコールが他国に比べ中国市場で遅れるなど、一連の対応から同社のスマホは中国市場でシェアを減らし続け、今では1%にも満たない。

サムスンによると今回問題となったスマホ2機種とタブレットはディスプレイ内指紋認証センサー技術を採用。この技術は超音波で指紋を立体的に認証するため、偽造指紋による解除のリスクを回避できるとともに濡れた指でも簡単にロック解除できるとし、「透過性にすぐれ、写真や指紋のコピーなどで解除することはできないためより安全だ」としていた。

ロイター通信の報道によると、現時点でサムスンは安全上の欠陥が存在することを公式に認めており、内部調査を始めているという。同社はできるだけ早く問題を解決するアップデートをするとしているが、原因についてはまだ説明を行っていない。

業界関係者は、サムスンが今回の問題を適切に処理できなければ、第二の「電池発火問題」になるだろうと語った。
(翻訳・山口幸子)

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