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新しいナノマテリアルのカーボンナノチューブ(CNT)は、リチウムイオン電池や導電性プラスチック、熱伝導複合材料、蓄電、航空宇宙などの分野で活用が期待され、材料科学の研究において長らく注目を浴びてきた。電気自動車(EV)や蓄電産業が急速に発展する中、強度や導電性、熱伝導性に優れるCNTの市場は急成長しつつあり、量産化と活用分野の拡大が進んでいる。
カーボンナノチューブ(CNT)は日本で初めて発見された「極めて優れた」新素材で、多層と単層の2種類に大きく分けられる。多層CNTは技術がある程度成熟して市場集中度が高い一方、単層CNTは量産化に向かっている段階だ。現在、単層CNTを量産できるメーカーはロシアの「OCSiAl」だけと言われ、価格が高いこともあり大規模な活用が進んでいない。こうした中、すでに複数の中国メーカーが単層CNTの開発を進め、量産化を目指しているという。
中国スタートアップ企業の「碳峰科技(Tanfeng Tech)」は、CNTやハードカーボン、シリコン・カーボン負極材など新材料の開発、生産、販売を手がけ、主に3種類の製品を展開している。うち多層系CNTが1000トンに上る第1期量産を終えたほか、シリコン・カーボン負極材はパイロットプラントのサンプル試験中で、単層CNTはロット量産を始めた。
CNTの導電性を確保するには、生産過程での触媒、精製、分散がカギを握る。各社はそれぞれ独自に配合した触媒を使っており、触媒の収率と転化率が製品のコストや性能を左右する。碳峰科技の共同創業者・李国棟氏によると、同社のコアチームは浙江大学材料学院の出身者で構成され、同大学の技術をベースに開発を進めた触媒は、反応効率が時間にして当初の60~90分から30~45分に短縮し、まだ効率化できる余地があるという。
CNTの生産方法は主に化学気相成長(CVD)法、アーク放電法、レーザーアブレーション法の3つがある中、CVD法が主流となっており、同社は第3世代のCVD装置となる「水平炉」を独自に開発した。李氏は「現在は管状炉か流動床で生産されることが多いが、これらのCVD装置は消費エネルギー消費が多く、高温を保つ時間も長い。当社が独自に開発した装置は、形状の安定性だけでなく、生産効率も高め、高温を保つ時間は45~60分と従来の半分以下に抑えると共に、炉から取り出されるCNTの純度も98%以上に向上させた」としている。
炉から取り出されたCNTは、純度をさらに高めるため、酸洗処理を行うのが一般的だ。酸洗処理によって不純物の金属酸化物を取り除いてから、水洗処理して乾燥させると製品としてのCNTができあがる。全体の工程には高い技術が求められるが、李氏は、同社株主が江蘇省塩城市に生産能力5000トンの化学工業拠点を持っており、そこで酸洗処理をすればコストの削減と生産効率の向上につながると説明した。
業界では、凝集しやすいCNTをどのように分散するかが、以前から課題とされてきた。一部の分散剤では高い含有量と流動性を両立できず、CNTの性能を最大限に発揮できないという。同社は海外の専門家とも協力し、他の高分子材料との相溶性にも優れた分散剤を開発した。
同社は年内に、山東省にある工場で3000トンに上る多層CNTの第2期生産に着手し、単層CNTの生産拡大にも取りかかるほか、研究開発拠点の建設を進める予定だ。それに向けて3000万〜5000万元(約7億~11億円)の資金調達を計画しているという。
*1元=約22円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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