高性能の関節モジュール、人型ロボットの普及を後押し。中国新興「Ti5 Robot」が存在感

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ロボットの関節モジュールを手がける「鈦虎機器人(Ti5 Robot)」がこのほど、プレシリーズAで数千万元(数億~十数億円)を調達した。出資は経緯創投(Matrix Partners)が主導し、方富創投(FOF Capital)と梅花創投(Plum Ventures)も参加した。

鈦虎機器人は、資金を人型ロボットの関節モジュールの製品拡充と技術開発に充て、モーターや減速機を一体化した関節モジュールの性能確保や、製品の量産コスト削減、安定性と使いやすさの向上を目指す。

2020年8月に設立された同社は、人型ロボットやファクトリーオートメーション(工業の自動化)、サービスロボット、モビリティの分野で顧客企業に一体型関節モジュール、超軽量型協働ロボット、人型ロボットなどのハードウエアソリューションを提供している。

中国政府は中国のロボット産業について、2025年までの成長率が年平均20%、売上高が2000億元(約4兆4000億円)を超えると予測した。特に同産業で大きなウエイトを占める関節モジュールの市場規模は800億元(約1兆8000億円)に上る見込みだ。

関節モジュールの開発に注力する鈦虎機器人は、豊富な製品をそろえ、活用シーンに応じたロボットの開発を後押ししている。また、開発プラットフォームをベースに、ソフトウエアやアルゴリズムを迅速に生成できるようにして、従来のロボット開発手法を刷新した。

現在はファクトリーオートメーション、家電、清掃ロボットなどの分野で、中国配電大手の国家電網(State Grid)といった顧客企業に対して製品の納品と量産を進め、受注と売り上げを急速に増やしている段階だ。

関節モジュール

エンボディドAIの概念が広がるにつれて人型ロボットが注目されるようになり、今後はロボット産業において川上から川中のハードウエアサプライヤーが重要な役割を担うと考えられている。

人型ロボットの中核部品である一体型関節モジュールで、その性能を測る重要な指標となるのが最大トルクとトルク密度だ。

同社が近くリリースを予定しているフルサイズの人型ロボット「T170A」は、股関節のトルクが最大490 Nm(ニュートンメートル)、関節モジュールのトルク密度が最大222Nm/kgに上る。外径120ミリのモジュールには、業界記録を更新する直径31.5ミリの空洞が設けられ、電源やネットワーク用のケーブルなどを納められるという。

フルサイズの人型ロボット「T170A」

人型ロボットが実際に活用される環境は多岐にわたるため、スムーズな動作を実現するだけでなく、本体の防塵性や防水性、耐電磁干渉性など外部環境の影響を考慮する必要があり、メーカーの製品設計のスキルが試される。

これに対して同社の一体型関節モジュールはすでに、水中や高圧下といった過酷な環境を含むさまざまなシーンで活用されている。

例えば国家電網のプロジェクトで、同社の双腕ロボットは330キロボルトの高電圧下で、送電網の断線を修復している。また、中国最大手の水中装置メーカーと提携し、ロボットアームによる深海探査業務も終えた。そのほかにも、新エネルギー自動車の大手メーカー数社に製品を提供している。

鈦虎機器人は業界トップ企業との長期的な提携を通じて、直観的で質の高いフィードバックを蓄積し、さまざまな使用シーンや顧客のニーズに対応するための技術改良に生かしている。

共同創業者の易港CTOは「強大で整ったサプライチェーンと膨大な人材を抱える中国は今後、人型ロボットの中心的な市場となる見通しで、高性能で軽量な一体型関節モジュールは、人型ロボットの普及を大きく後押しするだろう。当社は、人型ロボットの最適なサプライチェーンを構築し、低コストで高品質の関節モジュールの量産を目指している」と話した。

世界で台頭する中国の人型ロボット、大量生産で身近になる未来

*1元=約22円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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